エンタープライズ:トピックス 2002年5月13日更新

SAP R/3 EnterpriseによりSAPが目指すのは「革命」でなく「進化」

 SAPジャパンは5月13日,同社の主力製品である「SAP R/3」の次期バージョンとなる次世代ERPソリューション「SAP R/3 Enterprise」を発表。同日,都内で開催された「SAP R/3 Enterpriseセミナー」で,その全容を世界に先駆けて紹介した。

SAPジャパンの代表取締役社長,藤井清孝氏

 同セミナーのオープニングに登場したSAPジャパンの代表取締役社長,藤井清孝氏は,「この10年間で,企業システムにおける経営課題とERPの役割は大きく変化してきた」と話す。

 1990年代の経営課題は,ダウンサイジングや目に見える経営の実現,決算業務の早期化,プロセスの標準化,国際化対応,リアルタイムなど,社内の業務の流れを最適化することであり,この解決がERPベンダーに求められた大きな役割だったという。

 しかし,2000年代を向かえ,企業がERPベンダーに望むのは,連結決算への対応や低価格競争による調達コストの削減,拠点ごとの生産・在庫の最適化,分社化に向けた事業の統廃合,グループ経営に向けたインフラの統合,柔軟な向上やオフィスの統廃合,取引先とのシステム統合など,企業と企業,企業と顧客を柔軟につなぐための統合されたインフラに変化している。

 従来,ERPに求められるキーワードは,「インフラ」「インテグレーション」「トップダウン」というものだったが,近年では「バリュー」「柔軟性」「権限委任」という新たな領域にまで拡大し,踏み込むことが必要になった,と同氏は加える。

「ERPソリューションは,単なる基幹業務システムから,経営課題解決型ソリューションへと“進化”しなければならない。この顧客の要求に応えるソリューションが,SAP R/3 Enterpriseだ」(藤井氏)

 SAP R/3 Enterpriseの開発戦略については,藤井氏に続きステージに登場した独SAP AGのエグゼクティブボードメンバーであるクラウス・ハインリッヒ博士により紹介された。

既存資産を有効活用できるSAP R/3 Enterprise

 SAP R/3 Enterpriseは,「SAP R/3 Enterpriseコア」「SAP R/3 Enterprise拡張機能」「SAP Webアプリケーションサーバ」の3つの機能で構成される次世代ERPソリューション。SAP R/3の特徴である統合性を維持しながら,柔軟なアップグレードやインター/エクストラネットへの容易な展開が可能になる。

 SAP R/3 Enterpriseコアは,現行バージョンであるSAP R/3 4.6Cをベースに,パフォーマンスを最適化し,より安定性を高めた統合基幹業務機能を提供する。コア部分の修正は,パフォーマンスと安定性の向上に限定されて行われるため,バージョンアップの頻度を削減することが可能という。法制度の変更などがあった場合には,従来通りサポートパッケージとして提供される。

 新しい機能が必要な場合には,SAP R/3 Enterprise拡張機能により提供されることになるという。SAP R/3 Enterprise拡張機能では,新機能を「カプセル化」という新しい手法により実現されるモジュールとして提供することで,すべてのモジュールを組み込むことはもちろん,必要なモジュールだけを利用することが可能。これにより,機能拡張にかかるコストを大幅に削減することができる。

 また,SAP R/3 Enterpriseでは,これまで「ベーシステクノロジー」と呼ばれていたSAP R/3の基盤技術を,SAP Webアプリケーションサーバに移行している。SAP R/3の基盤をSAP Webアプリケーションサーバに移行することで,JavaやXML,SOAPなどの最新インターネット標準技術を採用することができる。

独SAP AGのエグゼクティブボードメンバー,クラウス・ハインリッヒ博士

 ハインリッヒ博士は,「SAP R/3とmySAP.comのシームレスな連携が可能になるだけでなく,マイクロソフトの.NetやJ2EE Webサービスなど,さまざまな環境とシームレスに統合することが可能だ」と話す。

「われわれがSAP R/3 Enterpriseの提供により目指すのは,基幹業務システムの“革命”ではない,既存のソフトウェア資産を最大限に有効活用しながら業務を効率化し,ROI(投資利益率)を向上させることが可能な企業体質に変化させる“進化”だ」(ハインリッヒ博士)

 SAP R/3 Enterpriseは,2002年第3四半期までにはリリースされる計画という。

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▼SAPジャパン

[山下竜大 ,ITmedia]