エンタープライズ:トピックス 2002年5月22日更新

復活ののろしを上げるスリーコム,新技術「XRN」を日本に投入

 スリーコムジャパン(スリーコム)が久方ぶりに,国内のエンタープライズ向けネットワーク市場で動きを起こした。

 同社は一時期,NICやスイッチのほか,ブロードバンドモデムやPDAなどに製品ラインナップを拡大。しかし経済状況の悪化もあって収益は悪化し,企業戦略の転換を余儀なくされた。

 2002年度からは,エンタープライズや中小規模企業をターゲットとしたビジネス・ネットワークス・カンパニー(BNC),ネットワーク接続に必要な機器を提供するビジネス・コネクティビティ・カンパニー(BCN),キャリアやISP向けにIPベースのインフラやプラットフォームを提供するコムワークスという,3つのカンパニー制に改め,ターゲットを絞り込む方針を取っている。

 同社は5月22日,新製品および技術に関する発表会を開催。この3月に同社BNCのカントリーマネージャに就任した瀧柳和之氏は,「今後リセラーや代理店,顧客に対するサポート強化を図るとともに,さまざまな情報発信を積極的に行っていく」と述べ,新スリーコムとしての本格的な活動を開始する意向を明らかにした。

国内市場への取り組みの仕切り直しを宣言した瀧柳カントリーマネージャ

 そのスリーコムが,エンタープライズ市場向けの武器として発表したのが,「XRN(eXpandable Resilient Networking)」だ。これは,専用のボードとケーブルで接続した複数のレイヤ3スイッチを,仮想的に1つのルータとして取り扱うことのできる独自の技術。同社はこれを,LANコアネットワーク構築のための新たな方法として提案していく。

複数のスイッチを仮想的に1台のレイヤ3スイッチに

 XRNは,シャーシ型のハイエンドレイヤ3スイッチと同等の機能を,複数のスイッチで実現するための技術だ。実際には,「XRN インターコネクトキット」という接続ツールの形で提供される。

 このキットを用いて接続されたスイッチ間では,ルーティングテーブルのほかARPやVLANに関する情報が共有され,スイッチ群があたかも1台のレイヤ3スイッチのように動作する。単純なスタッカブルハブのようにポート数を追加でき,各スイッチ間でトラフィックの負荷分散を行えるほか,冗長化も実現できる。

「XRNは,企業バックボーンにおけるシャーシ型スイッチのリプレースを狙ったものではなく,少ない初期投資で運用管理が簡単な,もう1つの選択肢を提供するもの」(同社BNCのネットワークコンサルタント,福山英一氏)。必要に応じてスイッチを買い足すことでバックボーンを強化でき,逆にネットワーク拡張時などにはエッジ/部門スイッチとして使いまわせることから,投資は無駄にならないという。

 ただ,当面XRNで接続できるのは2台のスイッチのみ。同社では引き続きXRN技術の拡張を進め,2003年には4台以上のスイッチを接続できるようにする計画だ。またスイッチをつなぐケーブル長も,最初のステップでは1mが標準だが,ゆくゆくはキャンパスネットワークもカバー可能な10km前後に延長していく予定という。

 このXRN技術を利用できるスイッチは,「SuperStack 3 Switch 4900ファミリ」と,同時に発表された新製品「3Com Switch 4060」だ。3Com Switch 4060は,標準で24ポートのギガビットイーサネットを搭載できるレイヤ3スイッチ。既存製品に比べると,電源やファンといったコンポーネントが二重化され,信頼性を高めていることが特徴という。

 XRN インターコネクトキットの価格は159万9000円で,今年10月ごろをめどに出荷する予定だ。また3Com Switch 4060の価格は287万9000円となり,6月初旬より出荷される。

 同社はさらに,10ギガビットイーサネット(10GbE)への対応計画も明らかにしている。ただ,ターゲットはあくまでLANマーケットであり,製品の投入も,10GbEが企業に浸透すると見られる2003年ごろを予定している。

 BNCでは,ギガビットイーサネット対応のLANスイッチに加え,ワイヤレスとIPテレフォニーという3つの分野を戦略市場として捉えているといい,「年内にはワイヤレスとIPテレフォニーの分野でも,新製品を投入する」(瀧柳氏)計画だ。

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▼スリーコム ジャパン

[高橋睦美 ,ITmedia]