エンタープライズ:トピックス | 2002年6月12日更新 |
Linux Column:Debianはどうか?
本来ならば「じゃあ、早速」ということで、Debianをインストールして試してみるところなのだが、実は筆者はDebianを1回も使ったことが無い。さらにワールドカップが始まってしまい超多忙になってしまったため(苦笑)、とりあえず今のところ検証できていない。実際の検証はワールドカップが終わるまではお預けになりそうだ。
さて、私自身もそうであるように、Debianは何かと食わず嫌いになる傾向があるようだがなぜだろう。再三言われているように、特にアップデート関係はaptが優秀だ、といわれている。また、パッケージについてもメンテナンスがしっかりしている、セキュリティへの対応なども早いと言われている。
しかしながらDebianは普及しているとは言いがたい。Debian使いは「何でDebianを使わないの?」と思うのだろう。そこで、どうしてDebianを使わないのか、あるいは使われないのかを筆者なりに考えてみた。
最初に断っておくが、このコラムはDebianの批判ではない。あくまで筆者が個人的に感じたDebian普及の上での問題点だ。だから、合わせて解決方法も書いてみることにする。
最も大きな理由としては「Debianはよく分からない」というのがあるのではないかと思う。RPM系のディストリビューションがいくつかの企業によって宣伝されており、情報が豊富に発信されているのに対して、Debianはコミュニティによって宣伝されているのが大きな違いだ。
得てして、マーケティング的な情報はプッシュ型、技術的な情報はプル型となる。ほとんどの技術的な優位性を訴えていたソフトウェア製品が、必ずしも技術的には優れていないソフトウェア製品に市場から駆逐されていった事実を鑑みれば、このプッシュ型/プル型の違いが、ユーザーの選択に対する行動性向を決定するということを見逃してはならないだろう。
結局のところ、ほとんどの利用者が(いろいろな意味で)、実は技術的では無いという現実が、技術的な優位性を保つとされるDebianとの不整合を起こしているということになるだろうか。
実際、筆者自身、人から貰ったAlphaマシンにLinuxをインストールして試行錯誤していたときに、Debianにチャレンジしてみたのだが、残念ながら平易に書かれた情報が無く、挫折した。まあ、最初からAlphaなどにチャレンジするのも悪いのだが、そのとき合わせて入手したIA系のDebian情報も、やっぱりよく分からなかった。
こうして見ると、Debianが今ひとつ普及しない理由というのはこの「とっかかりの悪さ」という点に大きな問題があるように思う。一昔前でいえばインストーラーの使いにくさ、分かりにくさというのは言われていたし、現在では改善されたとは聞いているが、本当に使いやすくなっているのかどうかは、これは筆者自身が使ってみないと分からないので評価は先送りということにさせていただく。
さて、この問題に対しての解決方法だが、やはり敷居を低くする、という点に力を注ぐのが一番でないかと思う。具体的には以下のポイントだ。
シンプルにする:複雑なものを喜ぶのは技術オタクだけだ。コンピューターは基本的には物事を解決するためにあるのだから、そのためのソフトウェアはシンプルでなくてはならない
簡単にする:シンプルにするには、簡単にしないといけない。特に情報の平易さは重要だ。技術的な正しさと平易さは場合によっては反比例する。できれば、もう3段階ぐらいレベルを下げた、場合によっては情報が不十分で見方によっては間違ってるよ、というぐらいの初心者向けの情報が欲しいところだ。
ばら撒く:とにかく数で勝負だ。入手手段が無ければ、どちらにしろ使ってはもらえない。
とりあえず思いつくことというのは、ごくごくありきたりのことだ。しかし、この「ありきたりのことができる」ことが結構難しかったりするのだ。場合によっては勘違いしているところもあるかもしれないので、今後少しずつDebianについて調べていこうと思う。ただ、こうやって「調べなきゃ」って思わないと分からないというところが、なかなか普及しない理由の1つなのではないかとも思うのだが……。
[宮原 徹 ,びぎねっと]