| エンタープライズ:ニュース | 2002/08/08 22:31:00 更新 |

Interview:「e-ラーニングは仕事の中で大きな比重を占めるようになる」
ASP型e-ラーニングサービスの草分け的存在であるクリック・トゥー・ラーン。同社はこの7月に、e-ラーニングプラットフォーム「Aspen」をリリースし、エンタープライズ向けLMS(ラーニング管理システム)市場に本格的に取り組むこととなった。自らCLO(Chief Learning Officer:最高知識責任者)と名乗る、米クリック・トゥー・ラーンのリー・マクシー氏に、今後の戦略と市場の動向を聞いた。
ASP型e-ラーニングサービスの草分け的存在であるクリック・トゥー・ラーン。同社はこの7月に、e-ラーニングプラットフォーム「Aspen」をリリースし、エンタープライズ向けLMS(ラーニング管理システム)市場に本格的に取り組むこととなった。
いつでも好きなときに、自分のペースで学習できるというのがe-ラーニング最大のメリットなのだが、これは逆に、受講者に対する強制力や管理が欠けるというデメリットにも通じる。こうした問題を踏まえ、各々の進捗状況やスキルを管理し、受講者を支援して、e-ラーニングの効果を高めるために生まれてきたのが、e-ラーニングプラットフォームだ。
クリック・トゥー・ラーンが正式に国内で発表したAspenには3つのコンポーネントがある。e-ラーニングのみならず、通信教育や集合研修も含め、企業全体のトレーニングを管理する「Aspen Learning Management Server」(LMS)と、学習コンテンツの作成から管理までをサポートする「Aspen Learning Content Management Server」(LCMS)に、同期型(ライブ型)e-ラーニングシステム「Aspen Virtual Classroom Server」(VC)だ。
自らCLO(Chief Learning Officer:最高知識責任者)と名乗る、米クリック・トゥー・ラーンのリー・マクシー氏に、Aspen投入の狙いと、今後のe-ラーニング市場の動向について聞いた。

e-Learning World 2002に合わせて来日したマクシー氏
ZDNet Aspenでは、どういった市場を狙っていますか?
マクシー ターゲットは3つあります。1つめは、伝統的なトレーニングです。AspenはLMS、LCMS、VCという3つのコンポーネントから構成されていますが、それが1つのプラットフォーム上に統合されており、協調して動作します。インタフェースも共通ですから、こうしたシーンでとても効果的です。
2つめは、営業やマーケティング、カスタマーサービスといったビジネスの最前線を直接支援し、問題解決を促すトレーニングです。例えば、現在、新製品に関するトレーニングに30日要しているとしましょう。e-ラーニングを利用すれば、この期間を10日間に短縮でき、その分の時間を販売活動に当てることが可能です。プロダクトサイクルがますます短くなっている現在では、これは重要なことです。
また、先に挙げた伝統的なトレーニングの場合は効果測定が難しいのですが、この使い方では効果が即座に収支に反映し、費用対効果が目に見えて高いのです。今後、大きく成長していく分野だと考えています。
最後は「シチュエーショナル・オポチュニティ」と呼んでいる分野です。具体的には、医療業界におけるHIPPAに関するトレーニングや、空港警備スタッフに対するトレーニングなどがその例です。
ZDNet 垂直市場型のトレーニングということでしょうか?
マクシー いいえ。来年になればもうそれを学ぶ必要はなのだけれど、今すぐ必要だという、緊急度の高い学習のことです。
ZDNet e-ラーニングによって具体的にどんな効果があるのでしょう?
マクシー 401kを導入したある企業の例を挙げましょう。その企業でははじめ、カフェテリアに社員全員を集めて制度を説明し、関連書類を渡したのですが、実際にサインした社員はたった16パーセントでした。これをe-ラーニングに置き換えたところ、比率は40パーセントに上がり、大きな投資効果が得られました。おそらく社員の多くは、自宅で奥さんと相談したりしながら内容を吟味し、サインしたのでしょう。
またコンサルティング企業のタワーズ・ペリンでは、多くの顧客企業からアウトソースを引き受けています。顧客が増えれば増えるほど、コールセンターの業務は増大するのですが、その人員のトレーニングにe-ラーニングを採用し、効果をあげました。
ZDNet e-ラーニング市場におけるAspenの強みは何でしょう?
マクシー 先ほども触れましたが、単一のプラットフォーム上に、LMCとLCMS、VCが統合されていることが最大のメリットです。個別に製品を出している企業はありますが、これら3つを、それも統合した形で提供している企業は他にはありません。
ZDNet とはいえ、システムだけでは実際の効果は上げられません。
マクシー ええ。われわれはその点、アクセンチュアと提携を結んでおり、企業がビジネス目的を達成できるようサポートしていきます。アクセンチュアが、企業のプロセスやテクノロジをどう変えるべきかを提言する一方で、Aspenは、人の変化を手助けします。つまり、新しい技術やプロセスをすばやく、しかも効果的に利用できるようにするのです。しかも、教室で習ったことは忘れがちですが、Aspenでは繰り返し、継続して学習することができます。
ZDNet どういった企業が顧客となっていますか?
マクシー アクセンチュアもそうです。金融や製造などあらゆる分野で、400社以上の実績があります。
ZDNet 今後e-ラーニングは、そしてAspenはどのような発展を遂げるのでしょう?
マクシー e-ラーニングは今後、仕事の中で大きな比重を占めるようになり、働き方と密接にかかわるようになります。将来的にはトレーニングとナレッジマネジメント、そしてパフォーマンスサポートシステムが統合され、その中核にe-ラーニングが位置することになるでしょう。
Aspenでは、例えば携帯電話のようなデバイスからVCを利用し、ライブ型e-ラーニングを利用できるような機能を、将来のバージョンに含めていく計画です。また、各モジュール間の統合もより緊密なものとしていきます。ビジネスの最前線にある人々を対象に、より小規模なバージョンを提供することも考えています。それから、学習コンテントは既にSCORM 1.2に対応していますが、さらにオブジェクトをきめ細かくし、再利用しやすくしていきます。
ZDNet ASPサービスの位置付けは?
マクシー 例えば、試しに1つのコンテントに関して、小規模にe-ラーニングを始めようというときには、ASPのほうが親しみやすいでしょう。その後、企業利益につながるよう大規模に展開するならば、Aspenの導入が適すると思います。
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[聞き手:高橋睦美,ITmedia]
