エンタープライズ:ニュース 2002/09/20 12:37:00 更新


「Linux PCじゃない」とサンのマクニーリーCEO

2日目を迎えた「SunNetwork」カンファレンスでサンのマクニーリーCEOは、いわゆる「PCビジネス」に参入する考えのないことを改めて強調した。Windowsに縛られ、パッチをあてるだけで、多額のコスト負担を強いられている顧客らに新しいクライアント環境を提供するのが狙いだという。

 9月19日、2日目を迎えた「SunNetwork 2002 Conference」で、サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリー会長兼社長兼CEOが、プレスやアナリストらとのQ&Aセッションに臨んだ。初日に発表されたLinuxデスクトップ戦略について問われ、いわゆる「PCビジネス」に参入する考えのないことを改めて強調した。

「Linux PCじゃない。“Sun Enterprise Client”だ。われわれはLinux PCのビジネスをするつもりはない」とマクニーリー氏。

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ノートブック版のSun Enterprise Clientも検討していると話すマクニーリー氏

 同社は、管理コストを引き下げ、セキュリティを高めるソリューションとして「SunRay」を既にリリースしている。すべてのアプリケーションはサーバ上で稼動し、その画面とキーボード操作をネットワーク接続されたSunRayターミナルとやり取りする仕組みだ。

 ただし、マクニリーリー氏が「顧客からは“SunRayなんてあったの?”と聞かれる」と嘆くほど知られていない。

 サンでソフトウェアを統括するジョナサン・シュワルツ執行副社長は、「Sun Enterprise Clientによって、SunRayの存在が知られ、マイクロソフトの支配を抜け出し、新しいエンタープライズクライアントのモデルが普及することも期待している」と話す。その原動力が、オープンソース技術の成熟にあることは言うまでもない。

 マクニーリー氏は、スクラッチからシステムを構築するのであれば、SunRayの方がコスト効率に優れているとしながらも、「例えば小売店舗のように安定した高速ネットワーク接続が配備できるところであればいいが、逆にネットワークがなければSunRayはただのプラスチックのかたまり。リモートではPCベースのSun Enterprise Clientが適している」と話す。StarOfficeのようなLinuxアプリケーションをローカルで動作させることができるからだ。

「どちらもオープンソースの標準的なスタックを載せておけば、トレーニングのコストも節約できる。組み合わせていくことになるだろう」(マクニーリー氏)

 サンはサーバサイドで統合可能なプリパッケージされたスタックを実現し、顧客自ら統合しなければならないような複雑さを排除しようと努めているが、そうした「革新性をマイクロソフトに独占されている32ビットデスクトップに持ち込む」(シュワルツ氏)のが狙いだ。

 サンによれば、多くの企業がWindowsに縛られ、マイクロソフトのパッチをあてるだけで、GEやトヨタのような大企業は多額のコスト負担を強いられているという。

「彼らは新しい環境への移行を模索している。Sun Enterprise Clientは、Windowsマシンに匹敵するパワーがありながら、ウイルスやバグが少なく、運用コスト半分以下だ。ThinクライアントでもFatクライアントでもない。“Fit”クライアントと呼んでほしい」(マクニーリー氏)

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[浅井英二,ITmedia]