| エンタープライズ:インタビュー | 2002/11/20 21:18:00 更新 |

Interview:「魅力的な“エクスペリエンス”こそ成功のカギ」とマクロメディア副社長
アプリケーションサーバの草分け、旧アレイアの「ColdFusion」が昨年、マクロメディアに買収され、今ではFlashと連携し、リッチなインターネットアプリケーションを開発するための基盤となっている。アレイアの創設者のひとり、ベリー氏に、新しいマクロメディアの戦略を聞いた。
マサチューセッツ州ケンブリッジのアレイアが「ColdFusion」をリリースしたのは、Internet Explorerがデビューした翌年の1996年だった。ColdFusionは、HTMLに似た独自のタグ言語であるCFML(Cold Fusion Markup Language)とスクリプトを搭載し、開発者は簡単に、しかも短期間でダイナミックなWeb/データベースアプリケーションを構築できた。アプリケーションサーバのルーツと言ってもいい。その創設者のひとり、アダム・ベリー氏が、今週開催された「Macromedia DevCon 2002 Japan」のために来日した。ベリー氏は、2001年3月にアレイアがマクロメディアに買収されたのに伴い、アプリケーションサーバを担当する副社長に就任、その後、マクロメディアのマーケティングを統括する副社長となっている。ベリー氏に新しいマクロメディアの戦略を聞いた。

「次の事業機会はリッチインターネットアプリだ」と話すベリー氏
ZDNet ColdFusionに対する私の印象は、Webアプリケーションを簡単に短期間で開発する製品、というものでしたが、今では大きく変化をしています。その背景を教えてください。
ベリー 「ColdFusion MX」が提供するコアのバリューに変わりはありません。Webアプリケーションを簡単に短期間で開発するものです。しかし、われわれはColdFusion MXを常に技術の最前線に置いておきたいと願っています。「リッチインターネットアプリケーション」を短期間で開発する、というのがColdFusion MXが担う次のメジャーステップです。
ZDNet その「リッチインターネットアプリケーション」について教えてください。
ベリー 「エクスペリエンス・エコノミー」(B.J.パイン&J.H.ギルモア共著 流通科学大学出版発行)という著書には、人の歴史が進むにつれて農業、工業、商業と経済が発展してきたが、次は「エクスペリエンス」(体験)のステージだ、と書かれています。例えば、1杯分のコーヒー豆はわずか数セントに過ぎませんが、缶に入れられて製品になると数十セントになる。これがホテルやレストランでは、1ドル以上でサービスされ、スターバックスがエクスペリエンスとして演出すると数ドルという価値になってきます。
フォレスタリサーチによれば、エンドユーザーの目標を達成するようにWebサイトをデザインし直せば、オンラインの売り上げを30%増やすことができるといいます。
エクスペリエンスこそ、Webサイト成功のカギとなります。われわれは、ユーザーのエクスペリエンスにフォーカスし、それをリッチにする製品を提供したいわけです。
ZDNet エンタープライズ市場、例えば企業内のWebアプリケーションについてはどうでしょう?
ベリー e-コマースのWebサイトであれ、ビジネスアプリケーションであれ、エクスペリエンスが重要であることに変わりはありません。
いわゆるパッケージ型のビジネスアプリケーションを導入しても、使い勝手が悪く、社内であまり利用してもらえず、追加のコストを支払ってもカスタマイズをする、という例がよくあります。
インタビューの中で、ベリー氏は、「Broadmore」というホテル予約サイトと「GMAC」という不動産紹介サイトのデモを行ってくれた。どちらもFlash MXやColdFusion MXというマクロメディアの「Macromedia MX」製品群が使われ、リッチなインターネットアプリケーションに仕上がっている。
HTMLで書かれた典型的なホテル予約サイトを思い浮かべてほしい。日程を入れ、部屋のグレードを選び、OKボタンを押しながら、数枚のページを進め、予約確認にたどり着く。入力漏れがあれば、そのページまで戻らなければならない。かつてはBroadmoreもそういうサイトだった。しかし、マクロメディアの技術を利用した新しいサイトでは、4ページにわたっていた入力フォームが1ページにまとめられ、予約確認ボタンを押そうとカーソルを合わせるだけで、エラーのウインドウがポップアップしてくれる。
GMACの不動産紹介サイトも同様だ。よりリッチなエクスペリエンスのおかげで、トラフィックが6倍、1人当たりの滞在時間は10倍になったという。
Macromedia MXは、リッチインターネットアプリケーションをさまざまな用途に向けて開発できる最初の製品群だという。リッチクライアント技術の「Flash Player」、サーバ技術の「ColdFusion MX」、そして開発ツールの「Macromedia Studio MX」という3つのキーコンポーネントから構成され、Macromedia Studio MXには、Dreamweaver MX、Flash MX、Fireworks MX、およびFreeHandというお馴染みのツールが含まれている。
JavaベースになったColdFusion MX
ZDNet ColdFusion MXになって、ColdFusionはどのように変わったのでしょうか。
ベリー ColdFusion MXは、根底から書き直されました。J2EE 1.3仕様に完全準拠した「JRun 4」が組み込まれ、もはやプロプライアタリなアプリケーションサーバではありません。スタンダードなJ2EEアプリケーションサーバの機能をさらに強化した製品となっています。
9月には日本でも「ColdFusion MX for IBM WebSphere Application Server」を発表しましたが、こうしたColdFusion MX for J2EE Application Serverを使えば、主要なJ2EEアプリケーションサーバ上でColdFusionアプリケーションを開発・公開できます。
顧客やパートナーらは、新しいColdFusion MXを歓迎してくれています。「JavaやJ2EEアプリケーションサーバは優れている、しかし、Java開発のスキルは不足している」というのが彼らの声だったのです。Javaを勉強することなく、生産性が高く、堅牢でスケーラビリティのあるWebアプリケーションやエンタープライズアプリケーションが開発できるのです。
ZDNet Webサービスへの取り組みはどうでしょう。
ベリー ColdFusion MXでは、開発したアプリケーションをWebサービスとして公開できますし、外部のWebサービスをアプリケーションの一部として組み込むこともできます。Webサービスは、とどのつまり、非同期のコミュニケーションです。リッチなクライアントとはフィットします。
また、Webサービスのサポートは、.NETとの統合もうまく行えるということも意味します。
ZDNet そうしたColdFusion MXの方向性というのは、旧アレイアがマクロメディアと合併した以後に打ち出されたのでしょうか。
ベリー ColdFusion MXがリリースされたのは、マクロメディアとの合併後ですが、作業は合併前から進めていました。
ZDNet FlashやDreamweaverとの連携などを見ていると、とても合併はうまく行っていますね。
ベリー 合併は既に完了し、マクロメディアという1つの会社になっています。業界のお手本となるような合併です。
デザイナーとデベロッパー
ZDNet 開催中の「Macromedia DevCon 2002 Japan」には、多くのWebデザイナーの人たちが参加していますが、アプリケーションのデベロッパーを取り込んでいく必要があるのではないでしょうか。
ベリー クリエイティブなプロフェッショナルやインタラクティブデザイナーに対して優れた製品を開発・提供していくことにわれわれは深くコミットしています。そのうえで、デザイナーとWebアプリケーションのデベロッパーが、一緒に仕事をすることが重要です。
Macromedia MXのデザイン意図は、組織内のワークフローに沿って、デザイナーとデベロッパーが使える単一のツールセットを提供しようというものでした。マクロメディアでは、伝統的な顧客ベースを維持しつつ、Webアプリケーションデベロッパーらも顧客として取り込んでいきたいと考えています。
ZDNet マクロメディアは、Javaコミュニティーに積極的に貢献していますね。
ベリー はい、現在はバックエンドインフラの標準化がどんどん進んでいるところですが、いずれユーザーエクスペリエンスやフロントエンドが着目されるでしょう。そこではわれわれが高い付加価値を提供できます。それが企業としての戦略になります。
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[聞き手:浅井英二,ITmedia]
