| エンタープライズ:ニュース | 2002/12/02 21:19:00 更新 |

インターネットは消費者の行動を変えた──e-CRMフォーラム2002基調講演から
日本経済新聞が主催する「e-CRMフォーラム2002」が都内で開催され、東京大学経済学部教授の片平秀貴氏による基調講演が行われた。
日本経済新聞が主催する「e-CRMフォーラム2002」が12月2日、都内で開催された。オープニングとなる、東京大学経済学部教授の片平秀貴氏による基調講演「インターネット時代のおもてなし:オン・オフラインを統合したブランドづくり」には、月曜の朝9時からという設定にもかかわらず、企業経営幹部やCIO、マーケティング担当者など多数が出席し、CRMへの関心の高さがうかがわれた。

東京大学大学院経済学研究科の片平秀貴教授
片平教授は「ブランド作りは1つの経営モデルだ。すべての価値は顧客の頭の中から生まれる。顧客を大事にしていない企業は、一時的に企業価値が上がることがあっても、いずれ価値を下げる」と述べ、「ブランド作り」をキーワードに、インターネット時代の消費者行動と、顧客時代のマーケティング手法について述べた。
片平教授によれば、インターネットがマーケットに与えた最大の影響は、消費者の行動パターンに質的変化が起こり、以前とは異なるものになってしまったことだという。「新しい消費者」は、その企業/ブランドがどのような価値を与えてくれるかだけでなく、企業が取った行動の裏にあるものは何かまでを考えるようになり、自分たちのことをどのくらい考えてくれるのかを吟味するようになったという。「日本人は、インターネットという“紙”を通じて、(意見を)述べるようになった。心を見せるようになった。これはマーケッターにとって大きな変化だ」(片平教授)。
新しい消費者は、インターネットの企業サイトを見て、誰のために存在するのか、どの程度私たち(顧客)のことを考えているのか、何をやってきてこれからなにをしようとしているのか、といったことを見抜く「俯瞰能力」を身につけたという。片平教授は、学生に対するアンケートから、「好きな企業のホームページの出来が悪いと、その企業に対する好意度が下がる」「好きな企業のホームページの出来が悪いと、その企業の製品・サービスを購入したいという気持ちが低下する」という人がほぼ半数いるという結果も示した。
また、片平教授は、サイトにユーザーとのコミュニケーションの場(BBSなど)を設けることに対し、「会社の上の人たちは、ユーザーに好きなことを書かせたらとんでもないことになると思っている。しかし、そこを閉じても(インターネットには)ほかにいくらでも書くところがあり、ブランドの抱える問題は必ず表面化する」と指摘し、最良の方法は顧客に対してきちんとした対応を取ることで、そうした対応がブランド作りにとって、口コミなどを通じてプラスに働くなど、非常に重要だとした。
これからの企業にとって重要なのは顧客への「おもてなしをする力」だと片平教授は言う。この「おもてなし」は、顧客、投資家、取引先など、ターゲット別に向け最適化したWebサイトを用意することや、修理に出したPCがいまどうなっているかという情報を顧客が確認できるようにすることなどが含まれる。また、オンラインのおもてなしだけでなく、電話や手紙、店舗などによるオフラインのおもてなしを組み合わせることで、効果が強まるとしている。
関連リンク[佐々木千之,ITmedia]
