エンタープライズ:ニュース 2003/05/19 22:03:00 更新


オージス総研、日本IBMらがモデリング技術の普及を目指して協議会設立

ラショナルソフトウェアのRational Roseを販売するオージス総研やラショナルの統合を国内でも進める日本IBMらが、UMLのような統一記述言語を利用したモデリング技術を普及させるべく、NPOを設立した。11月からはモデリング技能を認定する試験も開始する。

 5月19日、UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)などを前提としたモデリング技術者育成と業務モデル共有促進を目的に、特定非営利活動法人の「UMLモデリング推進協議会」(UMTP/Japan)が設立された。

 UMLとは、業務やソフトウェアを記述するための図式記法として、オブジェクトマネジメントグループ(OMG)が策定した標準規格。オブジェクト指向分析設計の第一人者であるジェームズ・ランボー氏(ラショナルソフトウェア メソドロジスト)によって生み出されたもので、彼は5月27日から開催される「IBM Software World 2003 & IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003」の基調講演のために来日する予定だ。なお、4月中旬、ユーメムエル教育研究所がOMGと提携し、日本およびアジアパシフィックにおいて資格試験を実施することを明らかにしている。

 UMLのメリットは、統一された言語を利用し、ソフトウェアの本質的な構造を記述(モデリング)できることだ。プログラマー同士はもちろん、業務レベルへとモデリング技術を拡大すれば、システム設計者やユーザーとの間でも対象システムに対する知識を共有できるという。

 UMLモデリング推進協議会では、単なるUML技能でなく、モデリング技術に重きを置き、「共通モデリング技術の策定」と「モデリング技能認定の実施」を通じて、欧米のみならず、中国や韓国にも遅れを取っているモデリング技術の普及を図りたいとしている。

 モデリングは、インターネットによる企業間電子商取引やサプライチェーンマネジメント(SCM)が普及するにつれ、その重要度を増している。企業ごとに独自開発した業務モデルでは、ビジネス連携はおろか、共有すら難しいからだ。このため、業界ごとの共通ビジネス手続きや方法を記述したベストプラクティスモデルの確立が求められており、既にe-コマース分野ではebXMLやGCI(グローバルコマースイニシアティブ)がベストプラクティスモデルを策定している。

 日本は業界ごとのベストプラクティスモデルでも立ち遅れており、UMLモデリング推進協議会では、各種業界団体によるモデル開発に対する技術支援も提供していくという。

 同協議会では、11月からモデリング技能認定試験を開始する。オージス総研が1998年から提供してきたWebベースの「OGIS UML University」を引き継ぎ、新たに「UMTP University」とし、Webベースで学習と認定受験が行えるようにするという。

 発起人幹事は、東京国際大学の堀内一教授、オージス総研の上野南海雄専務、および、近く国内でもラショナルを統合する日本アイ・ビー・エムの堀田一芙常務執行役員が務め、それぞれ副会長として同協議会の運営を支えていく。

 発起人には、アイテック、エーセント インク JAPAN、NECネクサスソリューションズ、NTTデータ、キャッツ、サントリー、サンモアテック、テクノロジックアート、東芝、東陽テクニカ、日本オラクル、NEC、日本ラショナルソフトウェア、日本ユニシス、野村総合研究所、日立製作所、富士通、豆蔵。会員目標は100社という。

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[浅井英二,ITmedia]