エンタープライズ:ニュース 2003/06/19 12:17:00 更新


OracleがPeopleSoftを反訴、買収金額を12億ドル引き上げ

Oracleは、PeopleSoftに対する買収金額を引き上げるとともに、買収への敵対行動を理由に、PeopleSoft、J.D. Edwardsに対する提訴を行った。Oracleは記者会見を開き、詳細について語った。(IDG)

 Oracleは6月18日、ライバル企業であるPeopleSoftに対する敵対的買収提案の金額を51億ドルから63億ドルに引き上げた。一方でOracleは、PeopleSoftと同社理事会、J.D. Edwardsが買収拒否のための行動をとったことを理由に、提訴すると発表した。

 「Oracleは引き続きPeopleSoftの買収にコミットしており、自分が所有しているわけではない企業をコントロールしようと経営陣が弄する策でも買収をやめることはない」との声明をOracleの会長兼CEO、ラリー・エリソン氏は発表した。

 PeopleSoftは買収コストを引き上げることができる「ポイズンピル」と呼ばれる乗っ取り防止策を株主に対して設定しており、OracleがPeopleSoft株主の過半数を獲得したとしても、PeopleSoftはOracleの乗っ取りを阻止することが可能だ(6月11日の関連記事)。

 6月18日に行われた記者会見の中でOracle最高財務責任者(CFO)であるジェフ・ヘンリー氏は繰り返しポイズンピルを取り下げるように主張。PeopleSoftの株主用の無料電話まで用意し、Oracleの提案を検討するようPeopleSoft経営陣に訴えることを促した。

 「われわれは彼らを訴えている。しかし、(PeopleSoftの)株主は、同社の経営陣に対し、現実を直視してポイズンピルを取り下げることを求めてほしい」とヘンリー氏は語った。

 Oracleの執行副社長であるチャック・フィリップス氏もヘンリー氏の主張を繰り返した。PeopleSoftの経営陣は自社の株主に対するOracleの買い付け提案を拒止しており、これは受託者責任の放棄に当たると同氏は主張する。

 Oracleによれば、同社は同日、PeopleSoftとJ.D. Edwardsが「PeopleSoftの株主がOracleによる株式公開買付を受け入れることができないように共同で実施した行動」に対する訴訟をデラウェアの連邦地裁に提出しているという。

 Oracleの提案はPeopleSoftの株主にとって「すばらしい価値」を持つとヘンリー氏は述べる。同社の売り上げは最近減少しているが、買い付け価格は適正市場価格に割増金を上乗せしている、と同氏。

 Oracleは金額を上積みした買収提案によりPeopleSoft買収は促進させることを期待しているとヘンリー氏は述べた。

 ヘンリー氏は18日の声明で、同社はPeopleSoft株主の過半数が取締役会に連絡をし、即刻「提案を受け入れる機会を与えるよう要求すること」を期待していると語っている。

 アプリケーション業界における統合が必要であり、SAPとMicrosoftとの競争に対抗するためにはPeopleSoft-Oracle合併が役立つということをPeopleSoftの株主は認識していると、同氏は述べる。

 PeopleSoftの代表者からのコメントは、記事執筆時には得られなかった。

 水曜日に行われたカンファレンスコールでヘンリー氏とフィリップス氏はOracleの買収提案を、PeopleSoftによるJ.D. Edwards買収計画と繰り返し比較した。

 J.D. Edwards買収案は、この2社の結合がもたらす力についての非現実的な推測に基づいているとフィリップス氏は述べ、OracleのPeopleSoftとの合併計画はより論理的な推測と控えめの見積もりに基づいたものだと主張する。

 カンファレンスコールでは、両氏に対して、買収が進んだ場合、PeopleSoft製品をサポートする計画、そして顧客が無償でOracleのeBusiness Suiteに移行できるようにするという約束についての多数の質問が向けられた。

 Oracleは今後短期間は既存のPeopleSoft顧客に対して必要なライセンスを販売するとフィリップス氏は答えた。

 顧客はeBusiness Suiteにアップグレードする方法を選ぶこともできる、とヘンリー氏。その場合にはOracleはPeopleSoftプラットフォームのバージョンアップと同程度かさらに「シームレスでスムーズな」移行プロセスを提供すると同氏は述べた。

 PeopleSoftの顧客にどのような形で無償アップグレードを提供するのかという質問に対してヘンリー氏は、Oracleはビジネスパートナーとスムーズな移行方法を開発し、移行コストを安価に抑えるために海外の開発リソースを使うと答えた。

 相次いで訴訟が起きているにもかかわらず、Oracleは7月までに合併完了するとの当初目標を変えない、とヘンリー氏は述べた。

 買収計画に立ちこめる暗雲はさらに広がりつつあるが、ヘンリー氏はそれを無視するかのように、見通しは明るいと楽観視した。

 「われわれはPeopleSoftの取締役会と会談を持ち、すべての取引を進めていくことを期待している」とヘンリー氏は語った。

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[Scarlet Pruitt,IDG News Service]

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