エンタープライズ:ニュース 2003/06/19 18:31:00 更新


IBMがCinnamonでContent Managerを味付け

IBMは、XMLドキュメントをコンテンツ管理ソフトに取り込み、データのインデックス作成と検索を行う技術を開発中。(IDG)

 IBMは、XMLドキュメントおよびデータを自社のコンテンツ管理ソフトウェアに取り込み、データのインデックス作成と検索を容易に行うことを可能にする技術を開発中だ。

 ニューヨーク州サマーズを本拠とするIBMでコンテンツ管理を担当するチーフアーキテクト、ジム・ライマー氏によると、「Cinnamon」というコードネームで呼ばれるこの構想は現在、同社の研究部門で開発が進められているという。

 「開発しているのは、DB2 Content Manager製品で使用する技術だ。この技術は、XMLドキュメントの処理およびXMLドキュメントの自動取り込みなどに関するものだ」とライマー氏は話す。

 「コンテンツ管理技術とDB2データベースによるXMLドキュメントを処理する手法として、異なるDTDスキーマが設定されたXMLドキュメントを取り込み、そのドキュメントをデータベースの各行にマッピングする機能にフォーカスしてきた。これは、異なるソースからXMLドキュメントを取り込み、それをデータベースに埋め込むことによって付加価値を与えるパーシング・抽出・平坦化作業である」と同氏は説明する。

 「そのため、コンテンツ管理システムでは、データコレクションを表現するために極めて完成度の高い複雑な手法が必要とされる。コンテンツ管理システムの完成度の高さを判断する基準の1つは、コレクションに含まれるコンテンツオブジェクトを記述する方法として、どれくらい豊かな表現力を持ったモデルを管理することができるかということだ。コンテンツ管理システムは一般に、階層や構造、フォルダあるいは入れ子式フォルダなど、非常に広範な記述方法を備える」(同氏)

 IBMの最新のContent Manager(バージョン8)では、データコレクション内で表現可能な形式が拡張され、プリミティブ、データモデリングサービス、XMLドキュメントで使用される各種表現形式(複数値属性セット、任意階層、リンク、リレーションシップなど)が追加された。

 「こういったドキュメントを扱う際に問題となるのは、いかにしてドキュメントをCM(Content Manager)に取り込むかだ。第2の問題は、DTDが時とともに進化し、またコンテンツの作成者が異なるDTDおよびスキーマを使用するという状況にどう対処するかということだ」とライマー氏は説明する。

 マッピング、管理、および進化するスキーマへの適合問題に対処するための基本技術は、IBMの「Clio」という研究プロジェクトのほか、「eXperanto」と呼ばれる総合的な取り組みの一環としても開発が進められている。

 Cinnamonは、複雑なXMLドキュメントを、そのコンテンツおよび関連するDTDとスキーマにかかわらず、CMのフルデータモデリングサービスに投射する方法を規定するマッピング作業を管理するための技術基盤を拡張することを目指した取り組みだ。また、実行時の観点では、XMLドキュメントの取り込みを自動化することが目標であり、これには、パーシング、抽出および新しいデータモデルへの投射が含まれる、とライマー氏は説明する。

 「この取り組みは、複雑な環境の中でXMLドキュメントを取り込む生産性を改善するための重要なステップである。スキームの進化に対応する上でも極めて重要だ」(ライマー氏)

 さらにCinnamonプロジェクトは、コンテンツの取り込み、投射およびモデリングを自動化する機能によってプログラミングを不要にする管理製品の実現に向けたステップでもあるという。

 メイン州バースにあるRedMonkのアナリスト、スティーブン・オグレーディー氏によると、IBMはCinnamonで、企業が今後大量のXMLドキュメントを蓄積するのに伴って生じる将来的問題に対処しようとしているという。

 オグレーディー氏は、約1年後に大手企業がこういった問題に直面すると予測している。

 ライマー氏によると、Cinnamonは現在、IBMが「技術プレビュー」と呼ぶ段階にあり、来年をめどにリリース予定のDB2 Content Managerの将来版に管理ツールとして含まれるという。

[Tom Sullivan,IDG News Service]

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