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　SAPは今週フロリダ州オーランドで開催されたSAPPHIRE '03ユーザーカンファレンスでサプライチェーン管理と顧客関係管理アプリケーションの強化を発表するとともに、自社製品の改善点についても詳細説明を行い、インストールとメンテナンスにかかるコストが安価になり、使いやすくなったことを強調した。

　SAPの会長兼CEOに就任したばかりのヘニング・カガーマン氏は基調講演の中で、SAPはイノベーターであり、「単に安全な選択肢なだけではない」と述べた。これは、OracleとPeopleSoftの買収騒動のことを指したものだろう。同氏はSAPが過去1年半で発してきたメッセージのいくつかを繰り返し、同社がオープンプラットフォームを提供し、顧客が行ってきた既存のソフトウェア投資を統合化によって活用できるようにすると述べた。

　将来のテクノロジーロードマップに関してカガーマン氏は、直感的なポータルベースの新ユーザーインタフェースをSAPアプリケーションに提供すると述べた。企業ユーザーが画面上のタスクリストに従っていくことで業務を進めることができるようにするインタフェースだ。既にSAPの人的資源用アプリケーションの最新版に一部導入されている。SAPが発表したばかりの新しいビジネス・マッピング・サービスでは、ユーザーがソフトウェアを利用中でもビジネスゴールをアプリケーションに設定したり特定のワークフローを埋め込んだりすることが可能だと、同氏は説明した。

　また、同社は予想通りmySAP CRMの最新版を発表した。mySAP CRMはSAP NetWeaver統合プラットフォームの機能を活用し、共同分析、マーケティング、販売、サービスの各機能を強化していると同社では述べている。

　新機能の一つに取引振興管理がある。これは、消費財を扱う企業が予算管理や需要予測、実施用の部品などを考慮しながら販売キャンペーンの立ち上げやモニタリングを行うためのものだ。SAPでは自動車関連業務に特化した機能も提供している。たとえば自動車メーカーは自動車のバイヤーに関するデータ、特定の車両に関する情報、複数のオーナーの所有する車の履歴までトラッキングできる。

　SAPはmySAP SCMの最新版も発表した。この製品はイベント管理をサポートし、突然の品不足などの予期しない供給ミスが発生した場合に企業が自動的に対応することを可能にする。この製品には新しいSAP Inventory Collaboration Hubも含まれる。これは単一のウェブベースのプラットフォームで、企業は自社のサプライチェーンとパートナーのシステムをより簡単に結びつけ、在庫の補充を確実に行うことができる。

　著名なギターメーカーであるFender Musical InstrumentsのCIO、パティー・ウォーカー氏は、導入して20年になるアプリケーションを統合的なERPとサプライチェーン管理の実装でリプレースする予定だが、その一部として新しいCRMアプリケーションを導入する計画だ。このCRMソフトウェアの中で彼女が気に入っている機能の一つに、コンフィギュレーションを変更できる、というものがある。これによりFenderは一回限りの需要に対応することができる。これまではそのために受注前に製品を作っておく必要があった。しかし、ウォーカー氏は、顧客がウェブから発注しているものを確認できる、コンフィギュレーション視覚化機能をスイートに追加してほしいとSAPに希望している。

　SAPによれば、この機能は既にパイロットプログラムには含まれているという。

　現在のCRMアプリケーションで実現されているモバイルデバイス用のユーザーインタフェースに関心がある、と言うのはAdobe Systemsのジェラード・ラター副社長。AdobeはSAP R/3 ERPソフトウェアを動かしており、ラター氏は、自社のモバイル販売部隊にモバイル・デバイス・インタフェースを導入し、導入済みのSiebel Systems製ソフトウェアをmySAP CRMでリプレースしたいと考えている。

　「つまり、ビジネスプロセス、価値を戻すこと、開発に時間をかけないこと、バックエンドを結びつけることに専念することが重要なのだ」とラター氏は述べた。