| エンタープライズ:ケーススタディ | 2003/07/07 21:47:00 更新 |

キリンビールの洋酒事業、予測系システム導入で在庫適正化を図る
キリンビールは、ビールとともに、ウイスキーやブランデー、ワインなどの洋酒事業をコア事業の1つと位置付けている。SASの需要予測エンジンを導入した同社の担当者に話を聞いた。
キリンビールは、2001年にキリン・シーグラムと営業部門を統合し、ビールとともに、ウイスキーやブランデー、ワインなどの洋酒事業をコア事業の一つと位置付けている。国産、輸入を含めた600品種の在庫を適正化するために、需給計画システムを向上させることは、同事業の業績を大きく左右する可能性もある。SASの需要予測エンジンを導入した同社物流本部企画担当の石井勝利氏、需給担当部長補佐の窪田圭吾氏、需給担当の濱本祐子氏に話を聞いた。

左から窪田氏、濱本氏、石井氏
業務概要
主力商品であるシーバスリーガル、ツードッグス、カリフォルニアワインのフランジアなど約600商品を輸入して仕入れる。商品の需給管理、発注業務は本社の5人が一括して行う。
具体的には、輸入品などで輸送リードタイムが長い商品に、将来的に欠品する可能性のチェックなどを行う。また、欠品した場合に、その原因がオーダーしたのに出荷先が出荷しなかったのか、あるいは、ほかの要因で出荷数が急増したために起きたのかなどの分析を行う。
システム構築の狙い
在庫の適正化。これを実現するための手段は、需要の予測精度の向上と、適正な発注数と的確な発注タイミング。かつてのExcelベースの属人的な業務を標準化するために、計画系システムとして、SASの予測エンジンを導入した。在庫の回転率を高めるとともに、売れ筋、死に筋をつかむ。
これができない場合、品切れが発生し、販売機会の喪失、得意先との調整などによる無駄な時間が発生してしまう。また、過剰在庫が発生することで、廃棄や保管料などの物流費が財務を圧迫することになる。
導入前の課題
- 需要予測について
別のパッケージを導入し、Excelベースで発注計画をコントロールしていたが、予測精度が向上できなかった。また、Excelでの作業が属人的でかつ紙ベースで非効率的であったため、Webベースで標準化する必要があった。
- 発注計画について
1. 各担当者のスキルに依存しており、業務が標準化できていない。
2. 商品ごとのロットリードタイムが担当者の知識に留まり、電子化されていない。
新システムにおける方針
新システムは、「需要予測、出荷計画機能の向上」および「発注計画、受払検討機能」の機能向上を目指す。そして、具体的に次のような取り組みを行う。
1. SASの予測エンジン導入。
2. プレ解析の実施。過去データを利用して、分析の予実をシミュレーションし、洋酒に適したモデルを選択する。
3. 需給業務プロセスの設計。業務フローの見直し。部署間会議の見直しを行う。
4. 需給計画システムの機能。販売予定データの取り込み、出荷計画データ入力機能、予実差異警告機能、予測モデル確認・変更機能、受払シミュレーション機能、発注計画自動作成機能など。
導入効果
導入プロジェクトは2002年1月に始まり、2003年4月にカットオーバーした。運用を開始してからまだ時間が経っていないため、在庫水準の適正化といった効果は今後順次検証していくとのことである。
だが、実際にシステムを使うユーザーには好評のよう。濱本氏は、「マスターデータさえしっかり作れば、自動的に業務が進む」と話す。SASベースのシステムを導入することで、業務サイクル全体につながりが出たという。
パッケージ選定の理由
システムインテグレータ(インテージ)の紹介。トータルコストと拡張性の高さなど。
ユーザーの声、拡張の希望など
従来は紙ベースでやっていた業務をSAS導入によりWebベースに移行した影響が出ているようだ。例えば、上司や顧客にデータを閲覧してもらう場合、やはりデータをプリントアウトすることが多いという。また、「上司にはきれいなプレゼン資料を見せたいという気持ちもある」という。ベンダーの本意かどうかは分からないが、データをさまざまな体裁でプリントアウトする機能があると、ユーザーは喜ぶかもしれない。
また、このことからも、パッケージソフトを導入した場合に、アプリケーションの利用方法のユーザー教育をしっかり行うことの重要性が分かる。ユーザー教育に力を入れなかったばかりに、パッケージが定着しなかったというケースは非常に多い。

1本100万円のスコッチウイスキー「ローヤルサルート50年」。1953年、英シーバスブラザーズが女王戴冠を祝って作ったという。プレートとキャップに純金と純銀が使われている。
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[怒賀新也,ITmedia]
