エンタープライズ:ニュース 2003/07/11 18:13:00 更新


Oracleの「DB強要」に脅えるPeopleSoftユーザー

PeopleSoftユーザーは、Oracle E-Business Suiteへの移行について心配しているが、それに付随するデータべースの切り替えも懸念材料の一つだ。SQL ServerやDB2ユーザーにとって、その代償は大きい。(IDG)

 Oracleはライバル企業のPeopleSoftに対する敵対的買収申し入れに関し、表向きは真摯な態度で望んでいるようだ。しかし、PeopleSoftユーザーの一部は、ビジネスアプリケーションへの投資が危機にさらされるだけでなく、Oracleのデータベースとインフラストラクチャーソフトウェアまで強要されるのではないかと恐れている。

 今では買収額が63億ドルに膨れ上がっている乗っ取り案が先月に初めて提示されたとき、Oracleがどの程度この買収に本気で取り組んでいるかを疑問視する向きがあった。しかし、7月9日に行われた財務アナリスト向けミーティングの席上、Oracle CEOのラリー・エリソン氏は買収交渉を1年間は続けるという意思を明らかにした(昨日の記事参照)。これに先立つ7月7日、PeopleSoftの普通株すべてを買い取る期限を11日延期した。

 OracleはPeopleSoftのビジネス・アプリケーション・ポートフォリオを抹殺してしまうとの理由で既に多くのPeopleSoft顧客が買収案に反対しているが、Oracle以外のデータベースを使っている場合、それがお払い箱になってしまうという危険性を指摘するユーザーもいる。OracleのE-Business Suiteを利用する場合には、Oracle製データベースしかサポートしないからだ。

 Oracleの広報担当者によれば、同社はOracleデータベースへの移行を強制するわけではなく、既存のPeopleSoftアプリケーションは10年間はサポートされるという。それ以降についてはまだ決定していないと担当者は述べている。

 それにもかかわらず、PeopleSoftの顧客は、PeopleSoftに買収される予定のJ.D. Edwardsと同じく、MicrosoftやIBMのデータベースを放棄しなければならないかもしれないと心配している。

 Napa County郡役所のITサービスを率いるベン・ウィルソン氏は「(Oracleから)安心できる確約をもらったわけではない。将来はOracleデータベースに移行させたいに違いないし、われわれにとって、それは高い買い物になる」と述べている。

 Napa Countyでは現在、Microsoft SQL Server 2000を使ってビジネスアプリケーションを動かしている。ウィルソン氏は現在のPeopleSoft 8以降もこのソフトを使い続ける計画だ。もしもOracleデータベースに移行すれば、現在のコストよりも数十万ドル余計なコストがかかるうえ、データベース管理者を再教育する必要も生じる、とウィルソン氏は嘆く。

 Oracleは顧客自身がデータベースを決めることができると約束しているが、それは6月に最初の乗っ取り案を提示したときの話と食い違うとPeopleSoft International Customer Advisory Boardの会長でゴルフ機器メーカーであるAcushnetのCIO、ペグ・ニコルソン氏は指摘する。Oracleが自社製品への移行を強制すれば、AcushnetのデータをSQL ServerからOracleにフォーマット変換し、スタッフを再教育するために「非常に多くの作業」が必要になるという。

 「これだけの時間と金があれば、われわれは自分たちの投資を回収できるようなもっと有効なプロジェクトに使いたい」とニコルソン氏。「これは単なるむだ遣いだ」と同氏。

 「われわれにとっては、将来Oracleデータベースを強要されるかもしれない、というのが最大の懸念だ」と言うのはTexas Education Agencyの執行最高責任者、ビル・モンロー氏。同社はSQL ServerとSybaseデータベースでPeopleSoftを動かしている。Oracleへの切り替えは破壊的で、しかも高価だと同氏は述べている。

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[Marc L. Songini,IDG News Service]

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