エンタープライズ:ニュース 2003/07/17 01:13:00 更新


Lotus創設者のミッチ・ケイパー氏がLinux、オープンソースを語る

Lotus 1-2-3の開発者であり、EFFやChandler、そしてMozilla.orgなどのオープンソース支援活動で知られるミッチ・ケイパーがLinux、オープンソースについて見解を述べる。(IDG)

 起業家として、そしてビジョナリーとして20年にわたり活動してきたミッチ・ケイパー氏はアイデアが現実のものとなるようすを楽しんできた。

 ケイパー氏はLotus Developmentの共同創設者であり、ビジネスコンピューティングにおける最初のキラーアプリとなった表計算ソフト、Lotus 1-2-3の開発者でもある。同氏は今、オープンソースの個人情報管理パッケージであるChandlerプロジェクトのリーダーとなっている。

 サンフランシスコ在住のケイパー氏は、2001年に設立されオープンソース開発を支援するOpen Source Applications Foundationの創設者兼会長であり、非営利のデジタル権利支援団体であるElectronic Frontier Foundationの共同創設者でもある。

 Computerworld誌のトッド・R・ウェイス記者は、先週オレゴン州ポートランドで行われたO'Reilly Open Source Conventionでケイパー氏にインタビューし、Linuxとオープンソースソフトウェアがビジネスコンピューティングにもたらしている影響について聞いた。

――Linuxとオープンソースソフトウェアは4、5年前と比べると、IT業界の中でずいぶんと注目を集め、尊敬を勝ち得ています。これはOSの継続的開発にとってどのような意味があるのでしょう?

 将来は政府と私的団体がオープンソース開発に資金を提供するようになると見ています。オープンソースが社会全体で持つ価値がだんだんと明らかになるにつれ、新しい形の資金調達モデルが登場するでしょう。

――期間業務にオープンソースアプリケーションを採用する準備は、ビジネス分野で整っていると思いますか?

 物事をどの視点から見ているかに依存します。適しているかどうかは、ニーズがどのようなものであるかによります。多くの人にとっては完全によいものでしょうし、そうでない人にとっては重要な部分が欠けているのでしょう。(残りのギャップを埋めるための)妨げとなる基本的な技術的障壁は存在しません。

――あなたはLinuxをメインのコンピュータOSとして使っていますか?

 毎日やっていることをすべてLinuxでというところまではいっていません。最新の情報を得るためにちょこちょこ使っています。これだけで全部できるようになったらすてきだと思いますが。

――LinuxがあなたのメインOSになるための障害となっているのは何ですか?

 私は仕事上、どうしてもコラボレーション機能を持ったカレンダーが必要で、(シームレスに動かすための)接続用ソフトが登場するのを待っているのです。

――LinuxとオープンソースがビジネスITで次の大きな躍進を遂げるのはどの分野だと思いますか?

 近い将来、大企業に入り込むとすれば、コールセンターのようなバーティカルなものでしょう。ナレッジワーカーの業務は要求レベルが高く、Linuxはまだその準備が整っていません。しかし、コールセンターではマシンを使って特定のことだけ(情報を提供したりコンシューマーの質問に答えたり)を行います。Linuxデスクトップはこれらの電話の受け答えには十分対応できるレベルに成熟しています。

――あなたが表計算ソフトのLotus 1-2-3を作り上げたときには、PCとデスクトップコンピューティングに必須のものでした。Linuxとオープンソースに一気に移行するための必須アプリケーションはありますか?

 キラーアプリはありません。人によって必要なものは異なります。これはオペレーティングシステムがなすべきことです。一つのことができないということもあれば、多くのことをきちんとできる場合もあります。

――あなたはデスクトップ向けLinuxは、より一般的なものとなり、それほど遠くない未来、世界市場でMicrosoft Windowsから10%のシェアを奪うだろうと言っていました。OSの分野において大きな変革が起きつつあると思いますか?

 今後18カ月以内にLinuxが爆発的に普及するとは考えていません。10億人(のWIndowsユーザー)の10%といえば、1億人ですからね。これは大きな数字です。問題は、どれだけのユーザーを獲得するか、どこまで到達するか、世界のどの程度までLinuxが所有するか、ということです。

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[Todd R. Weiss,IDG News Service]

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