エンタープライズ:インタビュー 2003/07/22 22:29:00 更新


Interview:日本J.D.エドワーズ新社長、「PeopleSoftとは明確に住み分けできる」

7月22日に正式に米PeopleSoftとの統合が完了した米J.D. Edwards。日本J.D.エドワーズの新社長、クレイグ・ハリデー氏に話を聞いた。

 7月22日に正式に米PeopleSoftとの統合が完了した米J.D. Edwards。同社の日本法人となる日本J.D.エドワーズは、7月1日に前社長の吉丸正俊氏に代わり、新社長にクレイグ・ハリデー氏が就任したことを明らかにしている。PeopleSoftとの合併によるユーザー企業への影響や、同社の今後の戦略の方向性について、新社長に話を聞いた。

jde.jpg
英エジンバラ大学生物学部、アーサーアンダーセンなどを経て1996年にJ.D. Edwards UKに入社したハリデー氏。1998年にJ.D. Edwards & Companyに転籍、2002年に日本地区担当マネジャーに就任した。

ZDNet 今回の社長交代にはどのような背景がありますか?

ハリデー 吉丸氏から「区切りをつけて少し時間を置きたい」との申し出があったことがきっかけになりました。交代はスムーズに済みました。

ZDNet 現在、PeopleSoftとの合併だけでなく、OracleがPeopleSoftの買収を試みるなど、業界全体に動きが見られます。既存のユーザーへの影響はあるでしょうか?

ハリデー J.D. EdwardsとPeopleSoftは正式に合併し一つの企業になりますが、J.D. Edwardsの製品の継続性は保たれます。

 また、知られているとおり、中堅企業に強いJ.D. Edwardsと、大企業向けが中心となるPeopleSoft製品が市場で競合することはほとんありません。明確に住み分けができます。

ZDNet この混乱に「乗じる」形で、SAPやIntentiaが、J.D. EdwardsやPeopleSoft、Oracleからの移行キャンペーンを行っています。

ハリデー 知っていますが、特にインパクトはありません。日本市場でのビジネスはもう26年になります。顧客企業からは、ツールの使いやすさなどが支持されており、他社のシステムに乗り換える企業は今のところ一つも出てきていません。

ZDNet 日本市場で事業を展開する上での戦略を教えてください。

ハリデー 現在の日本市場での戦略は実質的に、私と吉丸前社長の2人で策定したものです。収益データとのかかわりを見てもいい戦略と認識しています。

 特に重点を置くのはクオリティです。カスタマーサービスへのユーザー企業からの電話の本数は、この13年の中で一番少ない。不具合の問い合わせが減ることで、これまでコールセンターに対応していた開発リソースを、製品のテスティングに振り分けられる。その結果、製品の不具合が減り、コールセンターへの問い合わせが少なくなるといういいサイクルを構築したいと考えています。

 また、人材の質の向上にも注力したいと思っています。IT業界では、人材の定着率が低いことが特徴になっています。しかし、日本J.D.エドワーズでは、平均勤続年数が5年以上と米系企業としては長く、10年以上の人も少なくありません。ユーザーからすれば、担当者がコロコロ変わってしまっては面倒ですので、これも一つの自社の強みだと思っています。

ZDNet 製品の観点からの考えは?

ハリデー 会計や製造といったERPのコア機能に加え、ビジネス・インテリジェンスなどの製品をユーザーに追加してもらうために、努力したいと思っています。

ZDNet IBMとの関係が知られていますが、今後変化はあるでしょうか?

ハリデー 日本オフィスにはIBMの担当者が常駐するなど、同社との「密な関係」はこれからも継続していきます。



関連記事
▼激震するアプリケーション業界
▼日本J.D.エドワーズ、新社長クレイグ・ハリデー氏

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]