| エンタープライズ:ケーススタディ | 2003/07/29 19:42:00 更新 |

「日本の夏を支える」アサヒビールにSCMを聞く
ビール・発泡酒市場首位のアサヒビールは、「農産物」であるビールの製造において、常にリードタイムの短縮に取り組んでいるという。現在、工場出荷から店頭まで7日台を維持している同社のSCMおよび営業システムについて聞いた。
アサヒビールは、1987年に「アサヒスーパードライ」を発売し、2001年には国内ビール・発泡酒市場で首位(ビールと発泡酒の合計累計出荷数量による)に立った。鮮度を売りにする同社は、常にリードタイムの最短化に取り組んでいる。現在は工場出荷から店頭まで7日台。このような鮮度へのこだわりを支えているのが同社のSCMシステムだ。9月の小売免許自由化や外資参入、アルコール市場のピークアウトによる販売競争激化など、市場環境が刻々と変化する中、同社は情報システムをどう活用してビールの製造および販売を行っているのか。同社SCM推進部長を務める河原英一氏、同部プロデューサーを務める島崎市朗氏に話を聞いた。

今年の夏は糖質オフの発砲酒「本生アクアブルー」でも勝負する同社。河原氏(右)と島崎氏。
スーパードライを発売する前の同社が低迷していたことはよく知られている。河原氏は「“売れないビール会社”だった当時、売れ行きが悪くなると、店頭での商品の滞留時間が長くなり、味が落ち、さらに売れなくなるという負のサイクルに陥っていた。」と話す。
そこで、1986年にCI(コーポレート・アイデンティティ)を導入し、変革を図ったという。「新しいアサヒをつくる」として、消費者ニーズに沿った商品づくりを目指し、2年目にスーパードライが誕生した。
「フレッシュマネジメント活動」を全社で
ビールを新鮮なまま顧客に届けるためにSCMシステムを構築。「鮮度」をキーワードに、営業、生産、物流の各セッションをネットワークで連携しており、「フレッシュマネジメント活動」として展開してきた。現在では全工程における品質管理の徹底と、取引先との情報共有化による需要予測の精度の向上、適正な供給体制を実現するSCMに取り組んでいる。
河原氏はスーパードライについて、「飽きのこない、どんな食事にもあうビール」とアピールする。ビールは「農産物」であり、時間が経てばそれだけ酸化が進み、味が落ちるという。
自社開発システムが支えるSCM
SCMに関しては、同社は基幹部分にはパッケージを採用しておらず、すべて自社で開発したシステムを利用している。
関連システムで特徴的なものの1つがCRP(連続自動補充プログラム)。これは、特約店の販売データを基に最新の需要を予測し、適正な在庫量や補充数量を自動的に割り出すもの。1998年に、一部の特約店を対象に導入した。土地ごとに、祭りのスケジュールやセールなどの日程情報も加味するという。今後さらなる機能強化のために見直しを図る予定だ。
また、ビールを醸造する上での最初の作業とも言える原料・資材調達では、資材EDIによるWeb競争入札を一部で採用している。品質をクリアした複数の調達先が入札に参加することで、調達コストが下がるだけでなく、担当者に調達業務における相場観がついてくることもプラスになっているという。
一方で、アサヒビールの営業担当者にとって欠かせないシステムが「営業情報玉手箱」。ここには、営業活動履歴や提案書、ノウハウ、顧客管理データなど、さまざまな情報が蓄積されており、普段の営業活動を行う上で、それぞれの担当者にとって貴重な情報を提供するという。
同社では、1人1台のノートPCが支給されている。売上データや市場動向、消費者の声などの情報や、営業担当者の失敗体験や成功事例などをシステムに集約し、全社員で情報共有している。「もはやPCなしでは仕事ができないような状況」になっている。

ビールの泡を模したことで有名な浅草のアサヒビール本社。
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[怒賀新也,ITmedia]
