エンタープライズ:ケーススタディ 2003/09/30 20:08:00 更新


シンクタンクをサポートするインターネット調査

インターネットを利用した市場調査が普及し始めている。集計スピードの早さやコストの低さなど、従来の電話や郵送調査では得られなかったメリットがあることが知られており、シンクタンクも注目しているという。

 インターネットを利用した市場調査が普及し始めている。集計スピードの早さやコストの低さなど、従来の電話や郵送調査では得られなかったメリットがあることが知られる。同市場は、新規参入企業も多く競争も激しい。ブロードバンド環境を持つユーザーの増加を追い風に、今後は十分なパネル数の確保、調査結果の質の高さなどが求められる。

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右から野村総合研究所の高田氏、リサーチネットワークの佐々牧雄社長、同Webコンサルタントの小櫻耕一氏、ネットマイル取締役の畑野仁一氏。

 日本の代表的なシンクタンクの1つである野村総研も、インターネットを利用した調査に注目しているという。同社は、サービス業全体に関する一般消費者の動向調査を、ネットマイルリサーチのサービスを利用して行った。

 野村総研で上席コンサルタントを務める高田伸朗氏は、「例えば、自動車メーカーへのコンサルティングで調査結果を利用する」と話す。調査結果を基に、消費者の好む車種の特徴や車体の色などを、自動車メーカーに提案するといった用途に利用する。

 ネットマイルリサーチは、インターネット上でポイントプログラムを利用したサービスを展開するネットマイルと、インターネット上で調査業務を手掛けるリサーチネットワークが協力して展開するサービス。ネットマイルの会員数は188万人、加盟店数は425社に上っている。

 ビジネスのモデルは、ネットマイルリサーチが例えば、「白のカローラに乗っている人」といったように、電子メールやWebサイト上で調査対象に当てはまる会員を探すために募集をかけるところから始まる。

 会員は調査に参加することで、各種商品券や航空会社のマイレージなどと交換できるマイルを受け取る。一方で、調査の実施を依頼した加盟店は、ユーザーに付与されるマイルに応じて、決められた金額をネットマイルリサーチに支払う。言い換えると、加盟店はネットマイルから一定額でマイルを購入し、それを会員に付与するという形態だ。

 会員は、調査に協力することでマイルを蓄積でき、加盟店は200万人近い会員の中から有効な会員を絞った上での調査を行えることが双方のメリットになる。

 同サービスの強みは、膨大な数の会員を抱えていること。これにより、特定の輸入車など、出現率の低いサンプルを抽出することも可能になり、電話や郵送調査では不可能だった内容でも有効に実施できる可能性が広がる。さらに、回答者となる会員の属性情報が随時更新されることもインターネットの強みであり、調査の質を高める要因になるという。

 野村総研は、「サービス業のイノベーション」をテーマに、銀行や旅行、医療関係など、消費者がサービス業に対してどのような満足感を持っているかといった調査を行った。高田氏は、「集計の早さ、サンプル数の多さ、男女のバランス、サンプルの年齢層の幅広さといった点で、ネット調査を見てみたかった」と話す。

 また、同氏は、回答者のフリーコメントへの記述が非常に興味深かったとする。「(インターネットを利用した調査は)これから増えていく」と話す一方、課題としては、試作品などのサンプルを利用した調査がしづらいことや、質問がインターネットに載せやすいものに偏りがちになることなどを挙げている。

 高田氏は今後、例えば都銀各行のサービスの質の調査なども行っていきたいと話す。具体的な数値を示すことが、クライアントを説得する場合に有効になると加えた。

 別の事例としては、携帯電話の最新機種のユーザーに対するリサーチがネットマイルリサーチを通じて行われたという。予備調査への応募は3万3000〜4万票、その中で対象機種を持つユーザーの出現率は0.3%、計100票を本調査として取得できたという。この依頼をした加盟店、すなわち携帯電話メーカーは、この調査結果を次期端末の開発に生かしたとしている。

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[怒賀新也,ITmedia]