エンタープライズ:ケーススタディ 2003/11/17 22:44:00 更新


確実に普及期を迎えるコンタクトセンター市場、米GenesysのCOOに聞く

CRMの機能が営業支援系ソフトウェアとコンタクトセンターなどに分類されるうち、コンタクトセンターのユーザーは確実に増えてきているという。同市場大手の米Genesys、ローレン・フィロネンコCOOに話を聞いた

 「CRMは導入効果が見えにくい」と言われてしばらくが過ぎた。最近では話題に上ることも以前より減っているようだ。だが、CRMの機能が営業支援系ソフトウェア(SFA:Sales Force Automation)と、コンタクトセンターなどに分類されるうち、後者に関しては、ユーザーは確実に増えてきているという。同市場大手の米Genesys、ローレン・フィロネンコCOOに話を聞いた。

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米Genesysのローレン・フィロネンコCOO

 東京・池袋で11月13〜14日に開催された「第4回 コールセンター/CRM デモ&コンファレンス」で講演したフィロネンコ氏は、CRM市場はいま1つ伸び悩んでいるが、コンタクトセンターには当てはまらないとする。ソフトウェア業界全体がライセンス収入を減らす中で、同社は増収を実現しているという。

「コンタクトセンターは顧客の情報が集まる場所であり、業務プロセスを改善できるエージェントだ」(フィロネンコ氏)

 コンタクトセンターは、顧客との接点としての電話やFAX、インターネットといった各チャネルにおけるサービスを充実させると同時に、顧客情報を蓄積することで、顧客満足度を高めるための取り組みを継続的に行うもの。

 例えば、テレホンショッピングサービスを提供する米Home Shopping Network(HSN)にとっては、テレビによる商品紹介と同時に殺到する電話を確実に処理することは、ビジネスを成功するための不可欠の条件という。衝動買いを誘う業態であることももちろん関係している。もし、このときに電話がつながらなかったら、致命的な影響があると考えなくてはならない。

 HSNのコンタクトセンターにはGenesysの製品が利用されているという。また、同じくGenesysを利用しているのは証券会社の米Merill Lynch。株式の売買をユーザーがスムーズに行えるように、電話やインターネットなどの各チャネルのサービス品質を高めることができなければ、顧客を失うことを意味するという。店頭、電話、Webなど、どのチャネルからでも、顧客の過去の取引履歴を含めて、顧客が一貫したサービスを受けられることもテーマになっている。

 特に、金融や通信業界では、最終顧客と直接接点を持つケースが多いため、コンタクトセンターの充実は必須の課題になっているという。そのほか、電力やガスといった公共サービスを提供する企業への導入も進んでいる。一般的な製造業では、直販があまり多くないために、金融や通信業界ほど重要性は高くないが、NECの「121Ware.com」やソニーなど、導入事例も少なくないとしている。

 フィロネンコCOOは、「日本市場は世界2位の経済というだけでなく、ポテンシャルも高く評価している」と話す。特に、製造業やワイヤレス通信においては他国をリードする存在である一方で、コンタクトセンター製品の普及がまだ進んでいないことに注目しているようだ。

 さらに、「IPの導入率も世界に類を見ないほど」であるために、IPに特化したインフラ製品も提供する同社として、日本を重視していることを重ねて強調している。

 コンタクトセンター大手のこうした強気の発言は、顧客との関係を改善し、強化するというCRMのコンセプトの方向性は間違っていないことを示している。一方で、コンセプトに技術や製品が追いついてきた結果とも言えるとしている。

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[怒賀新也,ITmedia]