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2004/02/17 11:57:00 更新


サン、UltraSPARC IVやOpteronを搭載したSun Fire製品群を日本でも発表

サン・マイクロシステムズは、CMT技術採用のUltraSPARC IV搭載ミッドレンジ/ハイエンドサーバ「Sun Fire エンタープライズサーバ」5製品、およびOpteron搭載エントリーサーバ「Sun Fire V20z」を日本市場向けに発表した。

 サン・マイクロシステムズは2月16日、先週米国で発表した、UltraSPARC IV搭載ミッドレンジ/ハイエンドサーバ「Sun Fire エンタープライズサーバ」5製品、およびOpteron搭載エントリーサーバ「Sun Fire V20z」を日本市場向けに発表した。

「Sun Fire エンタープライズサーバ」

 今回サンが発表したSun Fire エンタープライズサーバ「Sun Fire E2900」、「Sun Fire E4900」、「Sun Fire E6900」、「Sun Fire E20K」、「Sun Fire 25K」には、2003年2月に発表した新プロセッサであるUltraSPARC IV/1.05GHzまたは1.20GHzを搭載している(2003年2月27日の記事参照)。UltraSPARC IVは、UltraSPARC IIIコア2つを1つのダイ上にまとめて、UltraSPARC IIIと同じプロセッサパッケージにしたもの。UltraSPARC IVは1つのCPUでSMP(対称型マルチプロセッシング)と同等の動作を可能にするもので、1CPUあたり2つのスレッドを同時に処理でき、サンはこれをチップ・マルチスレッディング(CMT)技術と呼んでいる。

「UltraSPARC IV」

「UltraSPARC IV」


 新しいSun Fire エンタープライズサーバ製品群では、異なる周波数のプロセッサを混在して使用できる(UltraSPARC IIIとIVの混在使用も可能)ほか、ハードウェア障害を自動的に検出し、障害が発生したハードウェアをシステムから自動的に分離してリソースを再配置するフォールトマネージメント技術(FMT)を新たに備えた。1つのシステムを複数のパーティションに分割してそれぞれ別のアプリケーションを稼働させるダイナミック・システム・ドメインや、システムを停めることなくプロセッサを含む主要コンポーネントを追加・交換してアップグレードできるダイナミック・リコンフィグレーションなどの従来のエンタープライズサーバの機能も継承している。

 対応するOSはSolaris 8/9、価格はUltraSPARC IV/1.05GHzを4基、メモリ16Gバイト、HDDを73.4Gバイト×2搭載し、Solarisサーバ/ライセンスを添付したSun Fire E2900が1425万5000円から。出荷開始予定は4月となっている。

 新エンタープライズサーバ製品の発売に伴って、同社製既存サーバおよび「IBM pSeries」、「HP Superdome」など競合製品からの置き換え/乗り換えを推進する「Sun UAPアップグレード下取りプログラム」を強化展開する。このプログラムでは通常、新規導入製品価格の最大10%を下取り金額としているが、16日から半年間の期間限定で、下取り金額の最大を20%に引き上げるとしている。

「Sun Fire エンタープライズサーバ」

「Sun Fire エンタープライズサーバ」と「Sun Fire V20z」(右の台上)


「Sun Fire V20z」

 Sun Fire V20zは2003年11月に発表した米Advanced Micro Devicesとの提携に基づく(2003年11月20日の記事参照)、Opteron搭載サーバの第1弾。高さ1Uの薄型ラックマウント筐体に、2ウェイ向けのOpteron 200シリーズ/1.6GHz、1.8GHz、2.2GHzを最大2基搭載する。セキュアWebサーバの評価プログラムであるSPECweb99_SSLベンチマークで、Xeon/3.2GHzシステムと比較して56%優れた性能を発揮するとしている。

 Sun Fire V20zは、Solaris 9 x86版(32ビット)、Red Hat Enterprise Linux 3(32ビット)、Red Hat Enterprise Linux 3 for AMD64、SUSE Linux Enterprise Server 8 for AMD64をサポートする。Opteronに最適化された64ビット版のSolaris x86版は今年後半に提供の予定。

 価格はサンとしては初めてオープンプライス制をとり、デルやIBM、HPなどの競合製品と実売価格において競争する姿勢を見せた。なお、OSは別売りとなる。Sun UAPアップグレード下取りプログラムも適用となり、Sun Fire V20z購入の場合の下取り金額は最大4万円に設定しているという。

 同時に発表したソフト開発者向けのプロモーションパッケージでは、Sun Fire V20zに、Solaris 9 x86版(年間使用ライセンス)、C/C++コンパイラなどの開発ツール、Java Enterprise System(Solaris x86版)を合わせて16万8000円からとなっている。出荷開始予定は4月下旬。

 都内のホテルで行われた発表会では、米Sun Microsystems、エンタープライズ・システムズ・プロダクツ、マーケティング担当バイスプレジデントのスティーブ・キャンベル氏が、サーバ戦略について説明した。キャンベル氏は、「他社は(システムを大型サーバに集約する)スケールアップか、(比較的小型の多くのサーバに分散させる)スケールアウトのどちらかを提供し、顧客に採用を迫るが、サンはスケールアップ/スケールアウトのどちらも提供し、顧客に選択肢を用意する」と述べた。また豊富なSolaris/SPARCベースのアプリケーション資産を背景に、「IBMやHPと異なり、サンだけが将来にわたる完全なバイナリ互換を保証できる」として顧客の投資の保護をアピールした。さらにOpteronサーバに関しては、今回のSun Fire V20zに続き、上半期中にはOpteronの4ウェイサーバを投入し、さらに将来、8ウェイサーバやブレードサーバ、ワークステーションを提供予定であると明らかにした。

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[佐々木千之,ITmedia]

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