インタビュー
2004/02/18 17:50:00 更新


Interview:仏AtosOrigin、日本でもアウトソーシングを強化する

ITのアウトソーシング、コンサルティングなどを手がける仏AtosOriginのアジア太平洋地域のCEO、K・C・ネオ氏に話を聞いた。

 日本での知名度はあまりないが、欧州を中心に、ITのアウトソーシング、コンサルティングなどを手がける企業として仏AtosOriginが知られている。パリ証券取引所に上場しており、パリとアムステルダムに本部を置く。ABN AMRO、BNP Paribas、Philipsなど、世界的な企業を顧客として抱えている。2003年9月22日には、SchlumbergerからITサービス事業を買い取る契約を結び、今後は日本での事業を強化したいとする同社。アジア太平洋地域のCEOを務めるK・C・ネオ氏に話を聞いた。

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K・C・ネオ氏(左)と日本法人の坂義実代表取締役

ITmedia AtosOriginのビジネスについて教えてください。

ネオ われわれは、顧客のビジョンを実現することを目指し、アウトソーシング、システム構築、コンサルティングを3本の柱として事業を行っています。世界での売り上げの比率は、順に、50、40、10%です。国別では、フランスで28%、ベネルクス3国で19%、英国で18%と高く、アジア太平洋は4%と低いのが現状です。業種別では、テレコムや金融、公共サービスなどの顧客が多いです。

 アウトソーシングでは、ITサポートやアプリケーションおよびデータホスティング、オンデマンドサービス、セキュリティサービスなどを手がけています。システム開発では、SAP、Oracle、PeopleSoftなどのERPの開発に強みを持っています。コンサルティングでは、CRM、SCMなどビジネス戦略の立案、ビジネスインテリジェンスなども手がけています。

 また、AtosOriginは、ソルトレークとトリノの冬季オリンピック、アテネと北京の夏季オリンピックにおいて、ITパートナーを担当しています。全世界約30億人の前で動く大規模システムは、オリンピックを成功させるための隠れた力になるのです。

ITmedia 日本市場をどう見ていますか。また、今後の展開について教えてください。

ネオ 一般に、日本市場は異質というイメージはありますが、事業の再構築なども進み、ギャップは確実に小さくなっています。アウトソーシングなどをサービスとして利用する企業も増えてくることが予想され、転換期を迎えていると考えています。

 また、日本では、これまでシュルンベルジェセマ事業を展開していたセマが、アトスオリジンに改称されます。

ITmedia 日本でも、最近は大手のシステム系コンサルティング企業などは、旨みのある長期安定プロジェクトになりやすいアウトソーシングにかなり力を入れるようになっています。AtosOriginでも売り上げ比率が高いアウトソーシングについて、世界と日本での市場の違いなどはありますか。

ネオ 欧米諸国をはじめ、アウトソーシングは世界で受け入れられています。日本でも、顧客企業の多くがコア事業へのリソースの集中化を図るため、アウトソーシングが選択肢として広く浸透し始めています。ITに詳しい人材を自社で育てるよりも、専門家のいる企業に任せた方が効率がいいとの認識もあるようです。

 また、財務的な観点からのメリットもあります。大企業では今も大規模システムにはメインフレームで構築するケースが多い。そこで、アウトソーシングを利用すれば、初期投資が少なくて済み、会計処理のやり方も柔軟になる場合もあります。また、基幹システムをオフショア開発する例も増えています。

 われわれは、特定のキーとなる業種において深いノウハウを持っていること、ライフサイクルマネジメント、リアルのビジネスとe-ビジネスのノウハウを組み合わせたスキルを持っていることが強みです。

ITmedia ビジネスをしていく上で、課題や障害などはありますか?

ネオ やはり、景気全体が低迷していることがネックになっています。そんなときこそ、ビジネスプロセスを効率化する必要があるのに、重要性を認識してもらえないことは悩みでもあります。ただし、しっかりした企業は確実に、システム投資をしていることも事実です。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

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