インタビュー
2004/02/26 19:25:00 更新


Interview:Enterprise Studio 7で統合完了を果たしたボーランド

IDEのパイオニアとし、ボーランドは開発環境統合をリードし続ける。BorCon Tokyoでの基調講演に合わせ来日された同社、パオリーニ氏にインタビューを行った。

 東京全日空ホテルで27日まで開催中のボーランド、プライベートカンファレンス「Borland Conference Tokyo」(会期25〜27日)。この基調講演のために来日された米ボーランドのJavaビジネス部門担当副社長兼GM、ジョージ・パオリーニ氏にインタビューを行った。

 ボーランドが考えるJava開発環境のポリシー、そしてIDEのパイオニアとしての自信が感じ取れる内容となった。

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Javaビジネス部門担当副社長兼GM、ジョージ・パオリーニ氏。同氏は、米Sun Microsystemsでマーケティングを勤め、2003年にボーランドへ移籍された


ITmedia Together Edition for JBuilder X Developerは、従来のJBuilder X DeveloperにUML機能を付け足すためのモジュールとして捉えてよいのでしょうか。

パオリーニ そうです。UMLの機能をJBuilderユーザーに向けて、適価で提供するというのが今回の目的です。

ITmedia JBuilder Xの価格に比べると若干高価だと思われます。これは自信の表れでしょうか。

パオリーニ キャンペーン価格と標準バンドル版を用意しました。これにより2つの製品が入手できることになるので、それほど高価だとは思われないはずです。バンドル版と従来版の差(3万円)でUMLが利用できることに、価値を見出してもらえると思います。

 開発者によっては、Webのフロントエンドだけを作っている人もいるでしょう。しかし、昨今ではモデリングまで行いたいという需要があります。チームの編成に合わせて混在した開発ができることにTogether Edition for JBuilder X Developerの真価があります。そして、現在開発を行っている開発者が、付加価値としてUMLを身近に感じられるようになるわけです。

 従来、UMLツールはとても高価でしたが、JBuilder X Developerユーザー向けにもキャンペーン価格を用意したのでコストパフォーマンスも高いはずです。

 ボーランド20年の歴史を振り返って見てもらえば分かると思いますが、弊社自体が開発者でもあります。そのため、現場で欲しているものをいちばんよく理解しています。「IDE」はボーランドが広げていったものであり、この分野でのペース付けを行っていく立場なのだと考えています。

ITmedia .NETに対するモデリングのアプローチが気になります。どのような展開があるのでしょうか。

パオリーニ .NETに対するモデリングにもアプローチがあります。これには、Delphiで先行していたVisualStudioに対するTogether Edition for .NETがあります。プラグインとして機能するものです。

 もう1つは、C# BuilderのArchtect EditionではECO(Enterprise Core Object)という機能が採用されており、UMLモデリングとモデルドリブン(MDAとして紹介され始めている)で開発することができます。

ITmedia サンは、ツールの使い勝手を標準化すると表明し始めました。ボーランドにとってこのような推進は歓迎すべきでしょうか。

パオリーニ アプリケーションデベロップメントでの使いやすさでは、ボーランドが先駆者でありパイオニアです。

 しかし、Javaの環境でスタンダード化を行うという試みは、マイクロソフトの環境のようにならず難しかったのが事実です。その理由としては、ネットワークベースのアプリ構築が複雑であること。そして、Webベースであればさまざまな関連が関わってくるからです。このような背景からも、UMLが重要なものとしてクローズアップされているのです。

 現存するインフラやコードを踏まえた上で開発を行うという制限が伴います。この点がJavaでの開発でスタンダード化への壁となっているものです。サンがコメントしているのはJSFであり、市場に登場した際にはフルサポートを行う予定です。

ITmedia 他社ではLinuxをプラットフォームとして重視する動きもあります。ボーランドではどのように考えていますか。

パオリーニ Linuxは幅広い意味で注目されていますが、JavaがLinux上で稼働しているという捉え方をしています。

 その一方で、今回発表したTogether Edition for JBuilder X Developerは、Webアプリケーション開発において今までLinux上で開発を行ってきたというニーズにもアピールできると考えています。ボーランドはプラットフォームに執着しない.NETとJavaの開発環境を提供するというポリシーです。

ITmedia ボーランドは、JBuilder XでStrutsやJBossとの関わりを深めました。今後のオープンソースとの関わりについてコメントしてください。

パオリーニ もちろんオープンソースというのは、何か乗せたい技術を開発するためにすばらしいものだと思います。ボーランドでは、Apache、Tomcat、JBoss、Strutsなどと関わっています。

 一方で、顧客に適切な価格で提供できるか、そしてサポートされた環境を提示できるかが重要なところです。この点にこそ、ボーランドが注力をしているのです。特にオープンソースの開発環境へフォーカスするということはありません。

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[聞き手:木田佳克,ITmedia]

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