ニュース
2004/02/26 23:50:00 更新


日本HP、Opteronと64ビット拡張対応Xeon搭載サーバ戦略を説明

日本HPは、米国での発表に合わせてIAサーバ「HP ProLiant」にOpteronを搭載した製品を発表するとともに、64ビット拡張テクノロジを備えたXeonを搭載する製品の開発を表明した。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2月25日、米国での発表に合わせて、IAサーバ「HP ProLiant」にOpteronを搭載した製品を発表するとともに、64ビット拡張テクノロジ対応Xeonを搭載する製品の開発を表明し、64ビット拡張x86プロセッサ搭載サーバの戦略について説明した。

 日本HPが発表したOpteron搭載製品は、2Wayの高さ1Uのラックマウントサーバ「HP ProLiant DL145」と、4Wayの高さ4Uのラックマウントサーバ「HP ProLiant DL585」。DL585は最大64Gバイトのメモリを搭載できるが(DL145は最大16Gバイト)、4Wayサーバとしては最大級という。2機種とも今年上半期に投入予定。さらにその後、2Wayブレードサーバも発表予定としている。

 また米Intelが先週IDFで発表した64ビット拡張テクノロジ対応Xeonを搭載するProLiantの投入計画についても明らかにした。1/2Wayの製品をこの夏に、4/8Wayの製品を2005年に発表の予定。このスケジュールはIntelのXeon投入計画に沿ったものだ。

 日本HPでは、ProLiantの上位のサーバ製品ファミリとして、Itanium 2を搭載する「HP Integrity」シリーズを持っている。ProLiantはこれまで32ビットのXeon(一部Pentium 4)を搭載する32ビットIAサーバであり、64ビットのIntegrityとは明確な差があった。今回の発表により、ProLiantも64ビットサーバになったわけだが、「IntegrityとProLiantの位置づけは従来と変わりない」という。説明会で日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリスタンダードサーバ製品本部プロダクトマーケティング部の香取明宏部長は、Opteron/64ビット拡張テクノロジ対応Xeonの採用はProLiantのパフォーマンスを向上するものだが、IntegrityはHPの戦略的なフル64ビットサーバコンピューティングのプラットフォームだと位置づけを説明した。

 香取氏を始めとした数人の説明を総合すると、Opteron/64ビット拡張テクノロジ対応XeonのProLiantは“コストパフォーマンスの高い”64ビットサーバ、Integrityは“フル”64ビットサーバということに要約できる。

 Opteron搭載ProLiantの価格は発表しなかったが、「驚くような価格」(日本HP)になるとしており、少なくともCPUが32ビットから64ビットになることへのプレミアは付かないと思われる。また64ビット拡張テクノロジ対応Xeon搭載機も含め、8Wayまでしか予定されていない。OSもWindowsとLinuxの2つで、最初のOpteron搭載機出荷時点ではおそらく64ビットWindowsは間に合わず、64ビットLinuxも製品の動作検証も出荷後になるようだ。

 これに対してIntegrityでは、これまでHPが次世代の主力サーバとして積極的に投資してきたこともあり、OSはWindows、Linux、HP-UX、OpenVMSと揃えている。製品ラインアップも1/2Way低電圧Itanium 2搭載機から128Wayまでと幅広い。各種のアプリケーションベンチマークで最高性能をたたき出してもいる。またIntelの計画ではXeonの性能向上よりもItaniumの性能向上スピードの方が速いことを紹介し、64ビットサーバの本命はあくまでもIntegrityであることを印象づけた。

 もう一つ残る疑問として、なぜProLiantに、Opteronと64ビット拡張テクノロジ対応Xeonの2種類のCPUを投入するのかという点がある。これについて日本HPによれば、一つには両CPUを比較したときOpteronはコストパフォーマンスが高く、Xeonは(これまでの実績から)信頼性が高いという。また、顧客からの64ビット拡張のx86系サーバの要求に対して、64ビット拡張テクノロジ対応Xeonまで待てないということも理由に挙げていた。HPにすればユーザーに選択肢を提供するということなのだが、2種類のCPUを搭載するProLiantが出揃ったとき、ユーザーにそれぞれの製品の違いをうまく説明できるのかどうか、さらにはどちらか一方のCPUだけを採用するほかのサーバベンダーに対して優位性を確保できるのか、といった点が気になった。

関連記事
▼x86の役割は永遠――HPがOpteronサーバ発表
▼HP、Opteron搭載サーバを間もなく発表
▼Intel、AMD対抗の64ビットx86サーバチップ投入計画を発表
▼サン、UltraSPARC IVやOpteron搭載を搭載したSun Fire製品群を日本でも発表
▼Opteronに対しても扉を開くHP
▼日本HP、拡張性重視した低電圧版Itanium 2搭載サーバを発表
▼HPが新ItaniumシステムとUNIXサーバを披露
▼日本HPとマイクロソフトが、計画系における64ビットWindows+Itanium 2のパワーを実証
▼Sunのサーバ大幅刷新、UltraSPARC IVとOpteron搭載モデル発表
▼HPがAMDのOpteronをサーバで採用へ

[佐々木千之,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.