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2004/04/08 22:53 更新


基調講演:インテルの注力するデジタルホーム、Itanium&Xeon、そしてウルトラワイドバンド

4月7日〜8日まで、千葉・舞浜のホテルで開催された「Intel Developer Forum Japan Spring 2004」では、コンピューティングに関するさまざまな技術の最新情報が紹介された。

 舞浜で行われたIntel Developer Forum Japan Spring 2004。開催二日目の基調講演には、インテル コーポレーション副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のビル・スー氏が登場、デジタルホーム分野へのビジョンを語ったほか、インテルが取り組むエンタープライズと研究開発分野についてもあわせて説明が行われた。

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インテル コーポレーション副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のビル・スー氏


 スー氏はインテル最新の90ナノプロセスやPCI Express、さらに次世代のプラットフォームを担うGrantsdaleチップセットといったテクノロジーを紹介。これらはコンピューティングのためのテクノロジーだが、これからはデジタルホームの分野でも威力を発揮することになると、デジタルホーム分野へも積極的にアプローチしてゆく方向性を打ち立てた。

 「いつでもどこでもどんな機器でも利用できるコンテンツの世界を目指している」とスー氏は述べる。その一例として会場のスクリーンで家庭におけるVODシステムを紹介したが、「これはエンターテインメントだけには限らない」と続けた。教育分野や個人のコミュニケーションエリアでも利用が期待される「簡略化された家電のようなツール」としてPCは提供されることが望ましいと語った。

 ただし、PCならではの脆弱性という問題も指摘した。その答えとして用意したのが、LaGrandeテクノロジーだ。ハードウェアベースのセキュリティを付加し、キーボードやディスプレイまでもがセキュアになる。またデータ保護で言えばRAID構成をサポートし、二つのHDDで冗長性と信頼性がプラットフォームにより提供される。

 さらに国内外の100社以上が参加するDigital Home Working Group(DHWG、デジタルホーム・ワーキンググループ)を紹介し、2億ドルのファンドを制定していることにも言及。「産業の発展に寄与するものと確信している」と自信を語った。

 続いて登場したのが、同社エンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルホトラ氏。エンタープライズ分野におけるプラットフォーム採用について話をめぐらせ、「2003年は、製造、小売、金融など多くの業種のシステムでItanium2の採用が進んだ。Itanium2にとっていわば記録的な一年だった。これは、業界のこれからの方向性を示すものと考えている」とItanium2プロセッサの普及が進んでいることを示した。

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エンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルホトラ氏


 一方のXeonプロセッサとの共存については、「両者はマーケットセグメントが異なっており、お互いに補完し合う関係だ。また、たとえ64ビット化志向が進んでいっても、エクステンションによってIA-32アーキテクチャを進化させることで、Xeonがフィットするところ、あるいはItaniumがフィットするところといったようにおのおの的確に提供できる」と、あくまで双方に注力する意志を強調した。

 インテルは2003年に10万個を超えるプロセッサを出荷しており、今後3〜4年で競合するRISC製品をすべて上回るつもりとのこと。

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Itanium2を採用したNECのブレードサーバ(開発試作機)もデモされた。2CPUのブレードを9枚格納できる。OSはLinuxが稼動しており、メカログの衝突解析プログラムが動作していた。


 研究開発の分野からはケビン・カーン氏が登場。ウルトラワイドバンド(UWB)やスマート・アンテナ・システムをおなじみの「ラジオ・ルネッサンス」の観点で紹介。特に後者は演算機能を加えて送受信の能力を向上させようという技術で、ワイヤレスの新しい可能性を示すものとして注目されている。IDF Fall 2003でもすでに紹介された技術だが、MIMO(Multi Input Multi Output)は複数のアンテナで送受信を行い、スループットとレンジの向上を得ることができる。従来規格である802.11a/b/gと互換性を保つ規格で実現できるのが特徴。

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インテル・シニア・フェロー兼コミュニケーションズ・テクノロジ・ラボ・ディレクタのケビン・カーン氏。


 カーン氏はこうした技術を紹介しながら、「いずれにしてもこういった技術はシリコンが実現していく。ただし、取り組みとしては単にテクノロジーとしてだけではなく、業界全体がそれに向かって動くようにしていくことが大事だ。そのためには、標準規格を効果的に策定すること、該当テクノロジーを活用した製品の市場投入やソリューションとして活用できるようにすること、政府関係機関の規制や政策に向き合うといったことも必要」として、こうした数々の施策を続けていくことが、「会社としての集団的責任」であると結んだ。

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[柿沼雄一郎,ITmedia]

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