IDG インタビュー
2004/05/18 14:34 更新

Interview:
MSサーバ幹部、Linuxとの競争と64ビットを語る (2/2)


マグリア氏 64ビットx86は重要なものだと当社は考えています。この先15〜18カ月で、すべての新しいサーバのハードが64ビットに対応するようになるでしょう。そこでカギとなるのが、64ビットの土台の上でアプリケーションを確実に実行できるようにすることです。x86 64ビット環境で、アプリケーション自体が64ビットでなくても、顧客が優れたソリューションを手に入れられるよう留意しなくてはなりません。x86環境は32ビットと64ビットのソリューションをネイティブに並列して走らせるため、OSが64ビットに移行しても、32ビットアプリケーションはその環境で円滑に走るのです。実際、たいていの場合、OSを(64ビットに)アップグレードするだけでおよそ8%性能が向上します。

 その理由は、OSが64ビットCPUの拡張機能の一部を活用できることにあります。特に、64ビットスペースでは利用できるレジスタが増えます。メモリアドレッシングが可能で、いくつもの機能が拡張されます。そのため、たとえ64ビットでなくても、アプリケーションの性能が自然と高まるのです。SQL Serverのようなアプリケーションはメモリによる制約を受けるため、64ビット化すれば多大な恩恵を受けます。64ビット化が重要となるアプリケーションもありますが、それほど明確なメリットのないアプリケーションもあります。ですが、いずれはすべてが64ビットに移行するでしょう。

 興味深いのは、これらシナリオの一部が、カーネルと、カーネルが必要とするスペースによってメモリの制約を受けるという点です。ですからカーネルを64ビットに移行するだけで、キャパシティが改善されます。64ビット環境で32ビットアプリケーションを走らせて、大きな恩恵を受けられるサービスの例を挙げましょう。現在新しい4ウェイ、そしてもちろん8ウェイシステム上で動作しているTerminal Serverは、利用できるメモリ量に完全に制約されています。各ユーザーセッションがかなりの量のメモリを使用するからです。それぞれのセッションがクライアントのように動いているのです。ですからTerminal Serverの世界では、64ビットOSに移行することで、32ビットのみで動作するOfficeやアプリケーションでも、同時により多くのアプリケーションを実行できるようになります。サーバでサポートできる同時ユーザーの数が急に増えるのです。

――それを試した顧客は?

マグリア氏 まだその段階ではありません。

――Microsoft社内でテストは行ったのですか?

マグリア氏 社内でこれを試してみました。相当のテストを行っています。

――既に64ビットのItaniumプロセッサ上で、64ビットWindowsを走らせているMicrosoft顧客についてはどうですか?

マグリア氏 ユーザーは現在、本格的にItaniumとともに64ビットWindowsに目を向けています。これらのx86プロセッサとともに、64ビットシステムの価格は大きく低下するでしょう。次にエキサイティングなのは、優れた32ビットアプリケーションとの互換性が提供されるため、Terminal Serverのように、アプリケーション自体が64ビットでなくても恩恵を受けられるという点です。デスクトップ環境が64ビットに移行するのは何年も先のことでしょうが、今でも64ビットx86システムからは大きな恩恵を受けられます。

――ユーザーはItaniumで32ビットアプリケーションを利用していますか?

マグリア氏 実質的には利用していません。可能ではありますが、性能が大きく低下します。

――Longhornには32ビット版と64ビット版があるのですか?

マグリア氏 今のところはそういう計画ですが、注意深く様子を見ていくつもりです。われわれはこの質問を自身に向けて問い続けています。

 64ビットプラットフォームへの移行は大きなメリットをもたらすでしょう。それによりデバイスドライバ開発者の仕事がシンプルになるからです。現時点では、32ビットと64ビットの2つのデバイスドライバを開発しなくてはなりません。われわれには64ビットの世界に移行しようという強い意欲があります。これは単に、業界全体がどの程度のペースで移行するかという問題なのです。

 32/64ビットの両方をサポートすれば、Microsoftの作業は増えることになりますよね? 確かにその通りです。現実的な問題となるのは、主にテストです。

――アップグレードのペースが遅い企業に対応するために、Microsoftが32ビットをサポートしなくてはならない可能性は高いでしょうか?

マグリア氏 そうした企業にはVirtual Serverがあります。こうした問題の一部を回避する手段はいくつかあります。われわれは顧客の移行を支援する手だてを用意しています。むしろ実際に問題となるのは、ハード環境をどの程度のペースで入れ替えるかです。明らかに、最初はサーバを入れ替え、次にデスクトップ、それからポータブル機器が続きます。64ビットのポータブル機器が出回るようになるでしょう。

――32ビットLonghornのリリースが必要な理由としては、ほかに何がありますか?

マグリア氏 当社は2つの点で互換性問題を抱えています――64ビットでサポートされない16ビットアプリケーションと、64ビットに移行していないデバイスです。例えば、メーカーが3年前に販売をやめた古いプリンタを、コンシューマーがまだ持っているとしましょう。メーカーにはこのプリンタのドライバを提供する動機はほとんどありません。

関連記事
▼Longhornは32ビット版と64ビット版を提供へ
▼マイクロソフト、「新しいビジネスには64ビットのパワーが必要になる」
▼Windows Server担当幹部、「AMD 64にはパートナーが求めていた64ビット機能がある」
▼Microsoftが64ビット版Windows XPをプレビュー

前のページ | 1 2 |      

[IDG Japan]

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.