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2004/05/18 22:26 更新


日本IBM、SOA関連のサービスとミドルウェアを発表

日本IBMは、IBM Software World 2004でサービス指向アーキテクチャに基づいた新しいサービスとミドルウェア製品群を発表した。オージス総研がSOAによる開発方法論の策定やIT基盤の構築に着手していることも明らかにされた。

 日本アイ・ビー・エムは5月18日、「IBM Software World 2004」でサービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づいた新しいサービスとミドルウェア製品群を発表した。

 SOAとは、ビジネスプロセスやその基盤となるITインフラを「サービス」として捉え、再利用したり、新たに組み合わせたりすることで、システムの変更を柔軟に実現できる設計手法。企業を取り巻く環境が激しく変化する中、ビジネスプロセスをその時々の状況に応じて柔軟に組み合わせて最適化していくことが求められている。IBMが「e-ビジネス・オンデマンド」構想を掲げ、全社を挙げて推進している背景には、こうした企業の課題がある。

 日本IBMでソフトウェアを担当する三浦浩執行役員は、「外部環境が企業にオンデマンド化を強いている。変化に即応できる企業でなければ生き残れない」と話す。

 しかし、今や流行語ともなっているSOAを実現するには、多くのハードルがあることも事実。動的にビジネスプロセスを組み合わせていくには、ITインフラだけでなく、業務そのものがコンポーネント化されている必要がある。日本IBMが今回、ミドルウェア製品群だけでなく、4つのコンサルティングサービス、「Component Business Modeling」「Strategy and Planning for Service Oriented Architectures」「Assessments for Services Oriented Architectures」、および「Application Renovation and Integration for Service Oriented Architectures」を併せて発表しているのはそのためだ。

 コンサルティングサービスの最も上流となるのが、Component Business Modelingだ。先ず、顧客企業のビジネスプロセスを洗い出す。例えば、一般消費財のメーカーであれば、横軸にCRMや製造、調達・物流などを並べ、縦軸には戦略、戦術、実行と下にいくほど、より現場の仕事に近くなるようにコンポーネント化する。そのうえでコンポーネントごとに評価し、変革の優先度を付けていく。各コンポーネントには、それに対応する具体的なソリューションが用意されているため、動的にビジネスプロセスを組み合わせる事業構造が実現し、変化への対応も可能となるという。

 一方、今回発表されたミドルウェア製品は、J2EEベースのインテグレーションプラットフォームであり、BPEL(Business Process Execution Language)ネイティブのワークフローエンジンである「WebSphere Business Integration Server Foundation v5.1」(WBI SF)と、BPEL対応のビジネスプロセスアプリケーションを開発するための支援ツール、「WebSphere Studio Application Developer Integration Edition v5.1」だ。

 BPELとは、複数のWebサービスをつなぎ、あるビジネスプロセスを実行(自動化)するための標準仕様。これまでにもビジネスプロセス定義を標準化する試みはあったが、IBMはもちろん、MicrosoftやBEA SystemsらがBPEL策定で協力し、大きな流れが出来た。他社に先駆けてBPELをネイティブサポートするWBI SFを使えば、既存のWebサービスやパッケージアプリケーションから再利用可能なサービスを作成したり、それらを呼び出していくことで、OSやプログラミング言語を意識することなく統合することができるという。当然ながら、BPELで記述されたプロセスは、BPEL仕様に準拠するほかの製品でも実行できる。

 この日、BPELへの変換機能が搭載されたモデリングツール、「WBI Modeler」や、ビジネスプロセスの実行を監視し、分析・評価する「WBI Monitor」の開発意向も表明されている。これにより、モデリングから実装、実行、モニタリング、および分析という一連のサイクル全体をサポートできるようになるという。

 なお、オージス総研がEA(エンタープライズアーキテクチャ)基盤構築の一環として、SOAによる開発方法論の策定やIT基盤の構築に着手していることも明らかにされた。

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[浅井英二,ITmedia]

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