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2004/05/22 04:45 更新


サービスとしてのアプリケーションが主流に――米PeopleSoftのコンウェイCEO

米PeopleSoftは、経営戦略やユーザーへの情報提供などを行う年次カンファレンス「PeopleSoft Leadership Summit 2004」を、ネバダ州ラスベガスで開催した

 米PeopleSoftは5月19日から2日間にわたり、年次カンファレンス「PeopleSoft Leadership Summit 2004」を、ネバダ州ラスベガスで開催した。各国企業のエグゼクティブを中心に、2500人以上の参加者が集まった。クレイグ・コンウェイCEOによる基調講演では、1年を過ぎてJ.D.Edwardsとの合併の手ごたえが改めて示されたほか、CRMの新製品、製造業における新しいソリューション「Demand Driven Manufacturing」、IBMとの中堅企業向け市場での協業も発表された。

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「昨年、Oracleによる買収問題では騒ぎが大きくなったが、PeopleSoftのビジネスは順調に進んでいる」とクレイグ・コンウェイCEO。

 コンウェイCEOは昨年のJ.D.Edwardsとの統合について、製造業向けモジュールが強化され、効果は2倍以上と認識していると改めて話した。同氏は、エンタープライズアプリケーションには、経済が好調な時には企業の競争力を高め、景気減速時には、コスト削減を追求するというメリットがあるとした。

 また、ビジネスプロセスがオンラインになり、リアルタイム性が増す中、今後のエンタープライズアプリケーションについてコンウェイ氏は、5つのトレンドを示した。

 1つは、ビジネスプロセスを複雑な企業内外で統合するニーズが増加することを背景に「柔軟性と適合性」が求められること。次に、主にデータ分析機能により、「企業がインテリジェンスを高めること」、3つ目は、多くの企業でシステム投資コストの40%が管理に費やされているなど投資効率の低さを打破する「PeopleSoft's Total Ownership Experience」、4つ目としては、テクノロジーの進化によって新しい機能を持った「New Applications」が提供されることなどが挙げられた。今回で言えば、マニュファクチャリングに導入された「Demand Driven Manufacturing」ソリューションがNew Applicationsとして位置づけられている。

 さらに、「多くの企業を導くこと」もアプリケーションのトレンドとして加えられた。例えば、小売業大手のWal-Martは現在、RFIDを活用した物流システムの導入を準備している。サプライヤーは、Wal-Martとビジネスをしたければ、RFIDに対応したインフラ投資を義務付けられる。この「エコシステム」を構成するサプライヤーは3万社ともいわれており、「これが多くの企業を導く力を示している」とコンウェイ氏は話した。

サービスとしてのソフトウェア

 「これまでのビジネスアプリケーションは、トランザクションの効率化が目的だった。今後は“サービス”としてアプリケーションを利用する新しい世代に移行する」(コンウェイ氏)

 同社はこれを「コンポジットアプリケーション」として説明、一方で、IBMやほかの多くのベンダーはSOA(Service Oriented Archtecture)、いわゆる「サービスとしてのソフトウェア」と呼んでいる。ここでは、アプリケーションがコンポーネントごとに独立した部品としてを捕らえており、今後の新たなアプリケーションの活用形態として注目を集めている。

 基調講演後のプレスカンファレンスで、アジア太平洋地区のビジネスについて質問を受けたコンウェイ氏は、「日本市場ではSAPが強いが、われわれは多くの投資を行ってきた。NTTも顧客として迎えることができた。」と対応した。

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CRMに新製品

 今回のカンファレンスで中心的な発表となったのは、5つのトレンドの中の1つ、分析によってビジネスにインテリジェンスを与えることを体現する製品「PeopleSoft Enterprise CRM8.9」のリリースだ。Enterprise CRM8.9には、15の新製品、3つの業種別ソリューション、700以上の新機能が含まれる。

 また、多くのCRMプロジェクトがユーザビリティに難があるために失敗しているなか、パフォーマンスを30%向上、ビジネスタスクを実行するために必要なクリック数を46%減らしたとしている。

 なお、同社のソフトウェアは現在、「PeopleSoft Enterprise」「PeopleSoft EnterpriseOne」(旧J.D. Edwards 5)「PeopleSoft World」(旧WorldSoftware)の3本を柱として展開されている。中堅企業を主なターゲットとするEnterpriseOneに特に注目が集まっている。