IDG インタビュー
2004/05/31 23:17 更新

Interview:
BEAのチュアングCEO、SOAとオープンソースを語る (1/2)

BEAは「BEA eWorld 2004 San Francisco」において、幾つかの新製品を発表し、IBMやMicrosoft、Sun Microsystems、Oracleなど、同じくSOAを提唱しているライバル各社からの差別化を図ろうとしている。会長兼CEOのチュアング氏に話を聞いた。

 BEA Systemsは5月末、年次カンファレンス「BEA eWorld 2004 San Francisco」を開催した。「Deploy SOA. Now」というBEAの顧客へのメッセージは、横断幕やマーケティング資料からはっきりとこだましていた。「SOA」、つまりサービス志向アーキテクチャとは、ITの設計アプローチのこと。その支持者らは、変化するビジネスニーズに容易にコンピュータシステムを適応させられると主張している。またソフトウェアコードを再利用できるため、アプリケーション実装コストの削減の手助けにもなると彼らは話す。このアプローチは、Webサービス標準を使って、アプリケーションを企業内で再利用が可能なサービスとして「公開」する。このサービスは、ユーザー認証プログラムでもよいし、「この顧客の最新の発注状況を表示する」といったビジネスの機能でもよい。事実上、ソフトウェアで表現できるものは何でも可能だ。

 BEAはeWorldカンファレンスにおいて、幾つかの新製品を発表し、IBMやMicrosoft、Sun Microsystems、Oracleなど、同じくSOAを提唱しているライバル各社からの差別化を図ろうとしている。新製品には、「Enterprise Service Bus」に関する同社の回答となる「QuickSilver」も含まれている。これはITインフラ周りでメッセージを運ぶのに用いられる。

 IDG News Serviceのインタビューに応じたBEAの会長兼CEOのアルフレッド・チュアング氏は、新製品とともに、BEAの長期的な成長計画や製品のソースコード開示に関して話をしてくれた。

IDG News Service(IDGNS) SOAを構築しようとする企業にとって、「QuickSilver」の役割りはどのようなものになるのでしょうか?

チュアング BEAの現在の技術は、SOAでアプリケーションを構築し、実装しようとする人たちのためのプラットフォームです。QuickSilverは、SOAモデルで構築されていないアプリケーションを取り出し、SOA環境で用いられるよう自身を表現することが可能となります。

 例えば、銀行のアプリケーションを構築するとします。メインフレームで多くの古いコードが動いており、2レイヤ(クライアント/サーバ)のOracleアプリケーションもあります。どうすればこれらをSOA環境で利用できるようにし、エンドユーザーとしてあらかじめ想定されていないセグメントのユーザーに提供することができるでしょうか?

 SOAプラットフォームはこれを実現可能にします。特に、BEAのサーバ技術を用いている場合、QuickSilverがプラグインを可能にするバスの役割りを果たし、これらのアプリケーションは新しいSOAタイプのアプリケーションにとって、ごく自然なものとして見えるようになります。

IDGNS 過去、BEAは主としてJavaアプリケーションの開発と実装のための製品を提供してきました。そして現在、ほかのプラットフォームやメインフレームにも範囲を広げようとしているようです。エンタープライズIT環境におけるBEAの役割りは広がると思いますか?

チュアング 単独のアプリケーションはもはや構築されなくなりました。自社環境にさらなる複雑性を加えることになるからです。それ以上に企業はインテグレーション作業を行っており、その動きを受けてBEAはマルチ製品企業となったのです。さらには、他社の技術を環境にタイトに適合させる必要もあり、これはBEAがコントロールできることではありません。

 既にリリースしている「WebLogic Platform 8.1」は、BEAのアプリケーションサーバとポータルサーバ、インテグレーションサーバを統合した最初の製品です。QuickSilverは真の意味でのバスで、プラットフォーム全体をプラグインすることもでき、BEAの持つほかの技術からは独立したものになるでしょう。これにより、ポイントソリューションの管理に、あるいはメッセージのスプーリングに、とさまざまなものに用いることができます。

「Process Edition」の狙い

IDGNS eWorldカンファレンスでは、今年中旬にリリース予定の新製品として、「WebLogic Server Process Edition」も発表しました。この製品は、SOA戦略のどの部分に該当するものですか?

チュアング ビジネスプロセスモデリングの利用が広がってきたことから、基本的にポータル、アプリケーションサーバ、BPM(ビジネスプロセス管理)エンジンを単一の製品にした低価格製品を市場に導入しようという戦略です。すべてのインテグレーション技術があり、EAI(Enterprise Application Integration)のフル機能され、すべてのアダプタがそろっているというわけではありませんが、プロセスをリンクさせようとする人たちにターゲットを絞り込んだ製品です。VAR(付加価値再販業者)やBEAのセールスチャネルを通じて、別の独立した製品として提供される予定です。

IDGNS WebLogicユーザー向けに設計された製品ですか?

チュアング むしろ、小規模な独立系EAIベンダーの製品との連携を目的としています。つまり、独立したEAIベンダー製品のユーザーで、限定された機能のみを必要とする人たち向けといえます。われわれは、市場にあるインテグレーションプロジェクトのスイートスポットを探すために大規模な調査を行いました。その結果、これは多数のインテグレーションプロジェクトが持つスイートスポットの1つであることが分かりました。このようなことから、製品をこの方法でパッケージ化することにしたのです。

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