エンタープライズ製品への関心集まるMSCE 2004the Microsoft Conference + expo 2004

the Microsoft Conference + expo 2004で、積極的に有用性がアピールされたWindows Storage Server 2003とBizTalk Server 2004。どちらも重要性の高まっている分野のキラーアプリケーションとなり得るかどうか。

» 2004年06月03日 22時17分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 6月3日、東京会場で行われるthe Microsoft Conference + expo 2004」(以下MSCE 2004)の二日目となったこの日は、午前中の二つのセッションを利用して、Windows Server Systemの製品中、最も最近に発売された二製品の紹介が行われた。昨年秋にリリースとなったWindows Storage Server 2003と、この三月から発売が開始されたBizTalk Server 2004である。

 Windows Storage Server 2003を紹介するのは、サーバープロットフォームビジネス本部 Windows Server製品部の高田信純氏。今日のストレージの重要性を説明しつつ、同時にIT管理者が抱える問題を指摘。その解決を、Windows Storage Server 2003が行うという。

 ストレージは、企業が有する最も価値の高い資産である「情報」を蓄えておくもの。その重要性はいまさらいうまでもない。だが企業内では、数Gバイト程度のファイルサーバが無造作に乱立し、管理者は昨今のより少ない投資でより多くのストレージ活用を目指さなければならない。これがストレージおよび管理者が抱える問題の現状だ。

 Windows Storage Server 2003は、アプライアンス型のストレージ/ファイルサーバ専用OS。Windows 2000をベースとした「Windows Powered NAS」の後継製品であり、Windows Server 2003をベースにファイルサーバOSとして最大限の最適化が図られている。IDGが行った2004年3月の調査では、NASマーケットでは60%以上のシェアを誇るという。

 その特徴は、高田氏によって三つのポイントで説明される。まずは「高い信頼性」。アプライアンス型のハードウェアに組み込まれた形でのみ販売されているため、最適化と検証が完全に行われている。さらにシンプルゆえにオーバーヘッドも少なく、障害となりうる部分もシェイプされている。

 「シームレスな統合」という面では、DHCPサーバの稼動している既存のネットワークへプラグアンドプレイで適用、最短で15分後には稼働開始可能という容易さがメリットとなる。また、Webブラウザベースのインストール/管理ツールは、上位バージョンであるWindows Server 2003にはない機能だ。CIFS、NFS、Netwareといった既存環境との連携ができることも強みだ。

 さらに、シンプルなアプライアンス製品のため、初期コストやインストールコスト、運用コストが低いというメリットもある。ここが高田氏の提示する三つ目のポイント「優れたコストパフォーマンス」だ。

 こうした理由から、点在する既存ファイルサーバの統合や一括管理を行うための製品として、Storage Server 2003は有効、なぜなら管理者の負担を軽減し、かつ将来的にも容易な拡張ができるためで、NASソリューションとして最適であると高田氏は結論づける。

Windows Storage Server 2003がソリューションとなり得るメリットの数々が説明された。

 もう一つの新製品、BizTalk Server 2004を説明したのは、サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションインフラストラクチャグループの藤縄智春氏。

 昨今、企業においてはBPMといったプロセス管理が多く行われるようになった。最近ではとくに、流通業に新しくEAIやB2B、EDIといった動きが見られると藤縄氏は言う。

 これらのソリューションすべてに共通することは、違うシステムがそれぞれ持っているデータやロジック、プロセスを統合し、新しいバリューを作り上げるという目的である。この一連のシステムを、自社内だけでなく企業間連携まで含めてすべてまとめて扱えるインテグレーションプラットフォームが、BizTalk Server 2004である。

ビジネスプロセス統合を実現するBizTalk Server 2004。

 インテグレーションには複雑さが付きまとうが、BizTalk Server 2004導入の際のトポロジーはシンプルそのもの。マイクロソフトがE-Hubと表現しているように、BizTalk Server 2004をハブのようにシステム全体の中央に置くという考え方だ。そこへ、「アダプタ」という概念でそれぞれのシステムをつないでいく。この方法によって拡張性にも富み、メンテナンスの場合にもアダプタ部分のみですむというメリットがある。

 こうしたいわゆる「ハブアンドスポーク」型をとっている競合製品はIBMやSAPなど、国内でも多いという。だが藤縄氏は、BizTalk Server 2004は後発ということもあり、業界最高の機能と業界最高のコストパフォーマンスを誇ると胸を張る。

 何よりも優れているのはその価格。「他製品で構築すると数千万といった単位になるが、BizTalk Server 2004なら可用性に優れたEnterprise Editionでも200万前後で済む」(藤縄氏)という。このコストメリットを考えると驚異的だ。

 BizTalk Server 2004では、Webサービスとの連携も容易に行える。BizTalk Server 2004内でビジネスプロセスを定義し、それをWebサービス化することで、あらゆる場面への転用も可能となる。BizTalk Server 2004のオーケストレーションエンジンでプロセスを定義し、ビジネスルールエンジンで各要件に合った柔軟な変更が行え、しかもノンコンパイルで反映できる。さらに本格的に取り組む必要があれば、Visual Studio .NETと完全に統合化した環境が用意されているため、開発者には取り組みやすいという点もメリットとなる。「他社製品はおそらく独自開発環境。メンテナンスやコストの面で、BizTalk Server 2004はとても有利のはず」と藤縄氏。

 インテグレーションは今後のコンピューティングを考察する上で、とても重要なソリューションの一つである。BizTalk Server 2004は、マイクロソフトが用意した次世代コンピューティングへのステップの一つといえるかもしれない。

 Windows Storage Server 2003とBizTalk Server 2004。どちらの製品も、今回のMSCEが初めて直接顧客層に向けてメリットが訴求された機会となる。会場のIT Professionalたちは、熱心にそのメッセージを受け取ろうとしていたように見える。

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