OSSで米国主導ソフトウェア産業を日本のものへ、VAリナックスフォーラムで上田取締役

2回目となるVAリナックスのプライベートセミナーが東京・赤坂で開催された。オープンソースをいかにビジネスへと取り込み、利益を上げるか、このテーマを基にキーマンからの講演が行われた。

» 2004年06月09日 18時04分 公開
[ITmedia]

 「NTTグループがオープンソースソフトウェア(OSS)採用を本格的に検討しだしたのは、日本のIT産業を牽引してきた同社だけに、タイムシフトとなる大きな可能性がある」。ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパンによるイベント「VA Linux Business Forum 2004」で同社、代表取締役の上田哲也氏から発せられたコメントだ。

 ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン(以下、VAリナックス)は、Linuxカーネルへの関わりを始め、Debian GNU/Linuxメンテへの参加、ユーザーコミュニティとして「JAPAN.LINUX.COM」、「スラッシュドット ジャパン」、開発者コミュニティ「SorceForge.jp」(現1000プロジェクト、登録開発者は8000名超)など、OSSに関わる各種のサイト運用およびベンダー支援、啓蒙活動などを行っている。

 6月9日(水)に東京・赤坂プリンスホテルで開催された「VA Linux Business Forum 2004」は、今回で2回目となるプライベートフォーラム。会場には、OSSとビジネスの関わりに関心を持つ来場者が多数集った。

 開幕の挨拶を行った上田氏は、同社によるオープンソース基盤を支える取り組みについてをテーマとし、これまでのオープンソース界の主要な出来事を振り返った。

 なかでも2001年12月のIBMによるLinuxへの10億ドル投資計画の発表は、OSSとビジネスとの関わりを考える上で大きな出来事だったと言い、最近ではこれに匹敵する国内の動きとしてはNTTがLinux採用を本格的に検討していることだという。これは、IBMに次ぐオープンソースとビジネスの関わりで大きな出来事になるだろうと強調する。

 VAリナックスとOSSとの関わりについても触れられ、同社では最も大きな力といえる「技術力」を基盤としており、「コミュニティ」の形成、「OSS」との関わり、「コスト削減」を実現すると共に、「大規模」システムへの適用提案が可能なことだと語る。これらの循環を円滑に行うからこそ、付加価値のあるサービスを提供できるという。

 OSSの真価を理解する上では、現在の国内ソフトウェア産業の問題点も理解しておきたいと指摘する。「日本におけるソフトウェア産業の危機は、ブラックボックス化によるコア部のノウハウ蓄積が少ない点だ。これまでは、米国による開発ソフトをローカライズするなどが主であり、根幹となるコア部のアーキテクチャについての技術が蓄積されていない傾向にある」という。

 このような理由からも、「現在はまだ、OSSを使用するだけという風潮があり、従来のビジネスのやり方を引きずっている傾向だ」と語り、言語の壁はあるものの、今後は積極的に取り組んでいかなければならない点だと言及された。

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