中小企業向けERP「SAP Business One」リリース、国産パッケージを標的に

SAPジャパンは中小企業向けに提供するERPパッケージ「SAP Business One」の出荷を開始したと発表した

» 2004年06月17日 12時36分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 SAPジャパンは6月17日、都内で記者発表会を行い、中小企業向けに提供するERPパッケージ「SAP Business One」の出荷を開始したと発表した。これにより、同社は、主力の大企業向け製品「mySAP Business Suite」、中堅および子会社向けの「mySAP All-In-One」と併せて、すべての規模の企業にERPを提供する体制を整えたことになる。

 17、18日に東京国際フォーラムで開催されている「SAP SAPPHIRE 2004」に合わせる形で発表されたmySAP Business Oneについて、日本法人の藤井清孝社長は、「日本のERP市場は端境期にある。大規模製造業では導入が一巡してきており、今後は中小企業に市場が広がろうとしている。」と話す。そういった環境の中、SAPは、IT構築のための予算的な制約がある中小企業に対して、数日という短期間の導入が可能で、必要な機能も提供できる製品をSAP Business Oneとして提供する。

「想定する競合は国産ベンダー。SAPでは入り込めない顧客をカバーできるリセラーの獲得にも力を入れたい」(藤井氏)

夕方の基調講演でもBusiness Oneをアピールした藤井氏。

 中小企業向けに設計されたmySAP Business Oneのユーザーにとっての導入メリットは、「業務プロセスの統合による経営スピード向上」「顧客対応力およびROIの向上」「グローバルビジネスをサポート」「短い導入期間および低い保守コスト」という4つの側面に分けられる。

 具体的には、レポート機能の充実、迅速な経営判断を可能にするアラート機能、CRMおよびSFA機能、SAPのほかの製品との連携、海外通貨への対応といった機能が提供されている。欧米の事例では、2〜4週間での導入が多いという。業務機能は、会計、販売、購買、在庫、銀行機能、生産、人事などに分かれる。また、レポーティング、システム管理なども提供されている。

 mySAP Business Oneは、すべてチャネルビジネスによって提供される。第一次のパートナーには、アイ・ティ・フロンティア、日本IBM、インテック、NECネクサソリューションズ、キャノンシステムソリューションズ、ダイヤモンド富士ソフト、デル、NEC、パーソナル情報システム、日立情報システムズ、日本ヒューレット・パッカード、三菱電機インフォメーションシステムズ、菱化システムが挙げられている。

 価格例は、1社10ユーザーで280万円。2004年中に700社の顧客企業、20社のパートナーの獲得を目指している。

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