「中小企業経営者の悩みを解決する」、SAP Business Oneローンチイベント

東京国際フォーラムで行われているSAPジャパンの年次ユーザーカンファレンス「SAP SAPPHIRE '04」の2日目、今回の発表の目玉となった中小企業向けのERP「SAP Business Oneのローンチイベントがメインホールで開催された

» 2004年06月18日 18時55分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 東京国際フォーラムで行われているSAPジャパンの年次ユーザーカンファレンス「SAP SAPPHIRE '04」の2日目、今回の発表の目玉として前日に発表された中小企業向けのERP「SAP Business One」(関連記事)のローンチイベントがメインホールで開催された。「外国産パッケージ」のイメージを避けて日本市場への浸透を図るためか、副社長の関谷泰朗氏が自らハッピを着て登場、日本太鼓の迫力ある演奏で会場を沸かせた。

Business Oneパートナーの代表者とともにハッピを着て壇上に上る関谷氏

 Business Oneの開発に関わったSAP AGバイスプレジデント、SMBグローバルフィールドオペレーションズのハンス―ユルゲン ウーヒンク氏は壇上で、「Business Oneはシンプルかつパワフルなことが特徴。導入期間が非常に短く済むことも強み」と切り出した。

 同氏は、ハンガリーのブタペストで行われたユーザー会で、7ユーザーのシステムを3日間、また、50ユーザーのシステムを60日間など、短期間の導入例が多数あったことを紹介した。

 一方、SAPジャパンの関谷氏は、1992年10月の設立からこれまでの同社の足取りを振り返る。

 「当時はERPではなく、BPRツールと呼ばれていた。既に大規模プロジェクトが多かっため、小規模プロジェクトのニーズに対応し切れていなかったことは事実」(同氏)

中小企業の経営者の悩み

 関谷氏は、中小企業の経営者が共通して持つ問題を、人、お金、成長の3つに分ける。

 ある製造業の工場では、「彼がいないと仕事が廻らない」という状況、つまり、業務が人に依存している状態が続いていたという。それを解決する手段は、「彼の仕事を細かく分解し、紙に書き留めること」だった。それ以来、業務を複数の人間で分担して処理することが可能になり、工場を安定して稼動できるようになった。

 「これがまさしく“システム”なのだ」(関谷氏)

 同イベントでアピールされたBusiness Oneの特徴は、mySAP Business Suiteおよび、中堅企業向けのmySAP All-In-Oneの両製品とのスムーズな連携が可能なこと。コード体系はABAPではなく、R/3の流れとは技術的には全く違うが、上位製品との接続性を確保したことで、例えば、mySAP Business Suiteを利用している大企業を親会社に持つ中小企業が、親会社とシステム連携をするといったニーズにも対応できる。また、CRM機能の搭載、開発キットが充実していることなども挙げられる。

 ただ、Business Oneの最大の特徴は価格という印象は強い。10ユーザーで280万円というモデル設定で考えても、コスト負担力に限界のある中小企業も導入しやすいと言っていい。また、100%パートナー経由で販売するチャネルモデルには、「企業にいつも出入りしているシステムインテグレータがシステム化を提案するのが最もいい」という考えかたもあるとしている。

 イベントの最後に、Business Oneの日本でのファーストユーザーとして、コムウェアの小松良和氏が壇上に上った。

 「ビジネスの拡大局面で業務処理に限界が出ていたときに、SAPの営業担当者からBusiness Oneを紹介された。導入が極めて簡単だったこと、レポーティングが充実していたことを評価している。不安もあったが、サポート体制など、SAPの意気込みを確認して、導入を決めた。」(同氏)

 Business Oneの登場により、「中堅」というよりは「中小」の市場において、既に幅広く利用されている国産の業務アプリケーションを交えた激しい顧客争奪戦が勃発しそうだ。

 業務のシステム化という流れは中小企業にとっても避けられない。導入を検討する企業は、市場競争を観察し、より効率的な製品を選択することが必要になる。

パートナーを代表してスピーチした菱化システムの高木健氏は、英語版を見たときはピンと来なかったが「日本語版を見て感激した」という。ハンス氏もハッピ姿になった。



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