SiebelやBEAも標的――明かされたOracleの「買収ウィッシュリスト」

Oracleの買収ターゲットリストの2番目に載っているのはSiebelだった。さらに幹部の証言で、同社がBEA、J.D. Edwards、Lawson Softwareの買収も考えていたことが明かされた。(IDG)

» 2004年06月22日 18時58分 公開
[IDG Japan]
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 OracleはPeopleSoft買収に失敗したら、次は2番目の標的――Siebel Systemsを追いかけるかもしれない。

 事業拡大に向けた取り組みにおいて、OracleはSiebelをウィッシュリストの2番目に据えている。Oracleのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)は6月21日、サンフランシスコの連邦裁判所において、ビデオテープによる宣誓証言でこう語った。エリソン氏の証言は、Oracleによる77億ドルをかけたPeopleSoft買収を阻止するために米司法省が起こした訴訟の一環として行われた。

 同氏は、OracleはPeopleSoftとの合併以外の買収を通じて、エンタープライズソフト分野で競争できるかとの質問を受け、買収にかかわらず同社には競争力があるが、買収はプラスになるし、PeopleSoftを買収すれば最も効果的に競争力を高められると答えた。

 「彼ら(PeopleSoft)は、われわれの2番目の選択肢よりも大規模で重要な顧客基盤を有している。2番目の選択肢とは、Siebelだ。(Siebel会長の)トム・シーベル氏が私の家にやって来て、Siebel Systemsの売却を持ちかけてきたことは以前に公表したと思う」(同氏)

 SiebelはCRM(顧客関係管理)ソフトを販売しており、PeopleSoftは人事、財務、サプライチェーン、顧客関係を管理するソフトなど、幅広いビジネスアプリケーションを販売している。現時点ではSiebelからコメントは得られていない。

 先月録画されたこの証言で、エリソン氏はSiebelの名前を出す前に、ミドルウェアベンダーのBEA SystemsもOracleの買収ターゲットになる可能性があると明かし、「PeopleSoftとBEAはSiebelよりもずっと魅力的だと思う」と述べた。これは、Siebelを2番目の選択肢とする後の発言と矛盾している。

 エリソン氏の前には、Oracle社長のサフラ・キャッツ氏がビデオによる証言で、PeopleSoftの買収提案の直前にJ.D. Edwardsにも話を持ちかけたことを明らかにした。会長兼CFO(最高財務責任者)のジェフ・ヘンリー氏はまた別の証言ビデオで、OracleはLawson Softwareの買収も検討していたと語った。

 Oracleは顧客基盤拡大のためにほかのベンダーを買収したいと考えている。PeopleSoftを買収した場合、MicrosoftやIBMなどの競合製品を使っているかもしれないPeopleSoftの顧客に、Oracleのデータベースソフトとアプリケーションサーバソフトを販売できると期待しているとエリソン氏は証言した。

 司法省は、OracleとPeopleSoftが合併すれば、ハイエンド人事・財務管理アプリケーション市場で競争が抑制され、それにより製品価格が上昇すると主張している。Oracleはこれに対し、競争相手は多数おり、Microsoftなどのベンダーがいつこの市場に参入してくるかも分からないと反論している。

 司法省は21日の審理で、カリフォルニア工科大学のプレストン・マカフィー教授を召喚した。Oracleは審理の開始前に、マカフィー教授を証人から除外しようとしていた(6月3日の記事参照)。

 マカフィー教授はOracleの値下げ慣行を調査し、同社の製品価格はPeopleSoftと比べて13〜26%安いと判断した。また、PeopleSoftとの競争がなくなれば、Oracle製品の価格は5〜30%上昇する可能性が高いとも証言した。

 Oracle側のダン・ウォール弁護士はマカフィー教授の証言に異を唱え、同教授の合併論では、常に価格が上昇すると反論。「この証言が、戯画化された業界について語ったものだということが明らかになった」と法廷の外で記者団に向けて語った。

 21日で審理は3週目に突入。司法省は22日に非公式に審理を中断するが、翌23日にはMicrosoftのBusiness Solutions部門の責任者ダグラス・バーガム氏を証人に呼ぶ予定だ。Oracleはこの先2週間のうちに申し立てを行う予定。ボーン・ウォーカー判事はおそらく8〜9月に判決を下すと見られる。

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