XML WebサービスはWebサーバから提供されるため、そのWebサーバに接続できれば、どこからでも呼び出せる。つまり、XML Webサービスを使ってデータをやり取りすれば、屋内、外出先を問わずのアクセスで、同じようにデータ操作できることを意味する。
このような、どこからでも必要な時にデータアクセスできるように作られたアプリケーションを「スマートクライアントソフトウェア」と言う。
.NETでは、クライアントのOSとしてWindows XP以外にも、Windows CEなどの携帯デバイスも想定している。.NETに対応したWindows CEなどの携帯デバイスのことを、特に「スマートデバイス」と呼ぶ。また、アプリケーションが同時に利用できるXML Webサービスはひとつだけではなく、目的に応じて好みな組み合わせが可能だ。冒頭で.NETを定義した「パーソナライズを重視した」という部分は、実は、それぞれのユーザーが、XML Webサービスを組み合わせて、好きなようにアプリケーションを構成できるということを意味する。
ただし、「XML Webサービスを組み合わせてアプリケーションを構成する」という考え方は技術的には可能だが、現状では、まだ少し時期が早い。なぜならば、汎用的なXML Webサービスが少なすぎるためだ。たとえて言うならば、企業で利用するような「ポータルサイト」のXML Webサービス版が、将来登場すると考えると分かりやすいかもしれない。ポータルサイトとは、「予定表」「連絡先」「アドレス帳」「メール」「ToDoリスト」などのコンポーネントが、1つのWebページにまとまったものだ。それぞれのコンポーネントは、ユーザーごとに特化されたデータが表示されており、カスタマイズも自在だ。
将来的には、このようなポータルサイトと同様に、「XML Webサービスを組み合わせて、自分好みのアプリケーションを作れるようになる」と思えばよい。ポータルサイトは、Webページとして構成されるわけだが、XML Webサービスの場合には、スマートクライアントソフトウェアとして提供されることになる。ユーザーインタフェースがWebという縛りから解放されるのだ。
サーバ環境で考えた場合、XML Webサービスは、他の企業とのデータをやり取りする「B2B環境」でも役立つ。たとえば、決済情報や商品注文、在庫情報などをやり取りするプログラムを、XML Webサービスとして実装しておけば企業間をそのまま接続できる。
企業間を接続する時に懸念材料となるのは、利用しているシステムがまちまちでデータの互換性がないという点だ。
そこで、SOAPという標準規格を採用したXML Webサービスの登場となる。XML Webサービスとして、外部からXML形式で受け取ったデータを企業内のデータベースに保存したり、データベースの内容をXML形式に変換して返したりするプログラムを作れば、互換性面の問題が解決される(図3)。
SOAPに対応しているOSや開発言語は、前述のようにマイクロソフトのものとは限らない。たとえば、JavaやPerlなどの他の言語もSOAPに対応している。このため、Windows上で構築したXML Webサービスを、ほかの開発言語で開発されたアプリケーションから呼び出しても、まったく問題はない。
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