Java Studio CreatorがJavaOne 2004で正式発表された。コンポーネントをドラッグ&ドロップでページ上に配置、そこに必要なロジックをJavaで記述していく、いわゆるビジュアル開発環境。Javaデベロッパーのすそ野拡大という期待もかかる。
「Project Rave」のコードネームで開発が進められてきた「Java Studio Creator」がJavaOne 2004 San Franciscoで発表された。Webアプリケーションを作成するためのビジュアル開発環境であるJava Studio Creatorは、簡単に言えば、MicrosoftのVisual Studio .NETのようなものだ。もちろん、言語としてサポートするのはJavaだけだし、サーバ側にもJ2EEを必要とする。
このJava Studio Creatorは、購読(サブスクリプション)モデルで販売される。Sun Microsystemsが運営するデベロッパー向けサービス、「Sun Developer Network」に新たに追加された年間99ドルのStandardメンバーと同699ドルのProfessionalメンバーには無償で提供される。
Java Studio Creatorの狙いは、比較的シンプルなWebアプリケーションを迅速に開発すること。いわゆるアプリケーションデベロッパーというよりは、企業内のデベロッパーを対象としている。ボタンやチェックボックスといったコンポーネントをマウスを使ってページ上に配置、そこに必要なロジックをJavaで記述していく。いわゆるビジュアルプログラミングが可能な開発ツールで、Javaデベロッパーのすそ野拡大という期待もかかる。
この手のWebアプリケーションは、データベース、ロジック、ユーザーインタフェースの3層構造からなる。企業の基幹系、情報系のアプリケーションなら、このJava Studio Creatorで簡単につくることができる。
もっとも、Java Studio Creatorで開発できるのは、ユーザーインタフェースとロジック部分だけだ。データベースに関しては、既にあるものをJavaからアクセスできるようにするか、Javaと接続可能なものを新たに用意する必要がある。
このJava Studio Creatorのメリットは、ユーザーインタフェースを先につくることで、従来細かく調整していた表示などに関わる作業を軽減できることにある。既にデータベースがある場合、ロジックよりもユーザーインタフェースに手間がかかることがほとんど。アプリケーションによっては、ほとんどデータベース内の情報をそのまま表示してしまえばいいことも少なくないからだ。
Java Studio Creatorは、JavaServer Faces(JSF)を使ってユーザーインタフェースを構築する。操作は、パレットから必要なコンポーネントを選択してページに配置するだけだ。コンポーネントとしては、ボタンやテキストフィールド、ラジオボタン、チェックボックスといった基本GUIコンポーネントに加え、データベースの検索結果を表示するのに便利なData Tableなどがある。
また、入力結果の検証のためのValidatorや表示用にデータを変換するConverterもコンポーネントとして用意されており、こちらもページにドロップするだけで簡単に組み込むことができる。
JSFは、ユーザーインタフェースをXMLで記述する。また、基本的なJavaコードは、自動的に生成されているので、必要ならば、Project NavigatorにあるJava Sourcesからコンポーネントを選択してJavaコードを追加、修正すればいい。
Java Studio Creatorは、Windows、Solaris、Linuxで動作するほか、Macintosh向けには現在ベータ版(早期評価版)が提供されている。
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