Hewlett-PackerdのCTO、Management for the Adaptice Enterprise Management Software Organizationのマーク・ポッツ氏に話を聞いた。
システム運用管理の領域でも、「ビジネスの視点からITを」というフレーズを数多くのベンダーが打ち出している。運用管理に関しては、監視や障害対応など、業務の多くが現場に根ざしており、ビジネスとのつながりが見えにくい印象がある。だが、日本で運用管理ツールとして中心的な製品として知られるJP1を提供する日立製作所や、OpenViewを展開する米Hewlett-Packerdは現在、運用管理とビジネスを絡めたメッセージの発信に躍起になっている。
こうした動きの背景について、Hewlett-PackerdのCTO、Management for the Adaptice Enterprise Management Software Organizationのマーク・ポッツ氏に話を聞いた。
マーク・ポッツ氏。HPがSOAを実現するために買収したTalkingBlocks出身。
―― 企業にとっての課題をITの視点からとらえるとどんなことが挙げられますか?
ポッツ 企業が持つ大きな課題の1つは、ITを持つことによって発生するコストをどう管理していくかにあります。また、セキュリティ、業界や政府による規制も課題となっています。そして、ソフトウェアの品質ももちろん重視されていますが、現在はさらに、ITがビジネスをどれだけ支援できるかに注目が集まっています。
そして、新たなキーワードとして認識されているのがAgility(俊敏性)です。つまり、ビジネスの変化に対して、ITが反応する速度が問われているのです。しかし、売り上げに対するIT予算は減る傾向にあり、実現するのが難しくなっています。
また、企業の多くでは、IT予算がビジネスの維持、管理に使われており、新たな革新的なビジネスを展開するための投資にはなっていない傾向があります。およそ、70%がメンテナンス、革新性のある分野にはわずか30%しか投資されていないと言われています。この数値を逆転させる必要があります。さらに、メンテナンスに使われている費用の内訳を見ると、75%近くが人件費が占めることが分かっています。これは好ましくない状況です。
―― HPとしてどのように取り組みますか?
ポッツ HPが掲げるアダプティブ・エンタープライズは、企業が掲げるIT利用へのビジョンにフォーカスするものです。ビジネスとITを同期することで、さまざまな課題の解決を図ります。アダプティブ・エンタープライズでは、IT管理をService Delivery Businessとして提供します。HPでは、事業目標などに基づき、幾つかの管理タスクを自動化しています。
―― 具体的な例を教えてください。
ポッツ 人事管理システムにおいて新しい社員が入ったことを想定します。システム側は新社員が入ると自動的にタスクを実行する設定になっており、ここではユーザープロビジョニングというタスクが実行されます。
この場合、Exchange ControllerというシステムがMicrosoft Exchange Serverと通信し、新社員用のメールボックスが自動的に設定されます。社員の役職や役割に基づいて、メールボックスの容量なども自動的に決定されるのです。複数のメールボックスをセットアップする場合、Exchangeには複数の物理ストレージの設定を要求するかもしれません。その場合には、Storage ControllerがExchangeをモニタリングしており、必要があればストレージを自動的に追加するのです。
ビジネスサービスの自動化、管理については、単に自動化しているだけでなく、ビジネスポリシーも管理されているのです。
これらのService Delivery Businessを支援するために4つのデザインポリシーがあります。これは、モジュール化、統合化、標準化、簡素化です。うまく機能することで、自動化とコスト削減、ビジネスに対応するまでの時間の短縮化、メンテナンス予算を革新的取り組みに振り分けることも可能になります。
―― モジュール化、標準化について具体的について教えてください。
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