インストール直後の環境整備――第1回 IA64とHP-UX(その3)UNIX USER8月号「unixuser.jpサーバー構築記」より転載(3/3 ページ)

» 2004年07月14日 00時00分 公開
[渡辺真次,UNIX USER]
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XアプリをSSH経由で表示させるには

 SAMやソフトウェアのインストールで使うswinstallは、Xとコンソールの両方で同じように利用できるので、SSH経由のターミナルでもとくに問題ない。しかし、セキュリティ管理ツールBastilleのほか、商用アプリのインストーラや管理ツールなどでも、X環境でなければ操作できないことがある。かといって運用に入ったサービスサーバーにXで接続するのはセキュリティ上好ましくない。また、Xが使うポートはふさがっているのが常である。

 管理端末として、X環境(LinuxやWindows+PC Xサーバー)があれば、SSHのトンネルを使ってXアプリを利用できるが、HP-UX 11iv2のSSH環境そのままでは、Xフォワード機能は利用できない」*。ちょっとしたコツが必要だ。

操作PC側の設定

 操作PC側にはXサーバーが起動している必要があるが、そのXサーバーにほかのマシンのXクライアントが接続できるよう、以下の2点を確認しておく。

  • アクセス制御
  • TCP/IPの接続受け待ち

アクセス制御をかけている環境では、「xhost+」の実行などで解除する。また、最近の環境ではリモートからの接続を拒否するようXサーバーの起動時に「-nolisten tcp」オプションを付けて起動しているものもある。たとえばDebian GNU/Linuxでは、/etc/X11/xinit/xserverrcにその記述があるので、修正してXサーバーを起動し直しておく。

 準備ができたら、sshを6000番ポート*のリモートフォワードで起動し、接続する。

# ssh -R 6000:localhost:6000 <接続先>

「localhost」の部分はsshを起動した操作PC側マシンの外部IPアドレスでもOKである。

Xアプリ起動側の設定

 リモートフォワードで接続したら、DISPLAY環境変数を設定し、任意のXクライアントを起動すればOKだ。

# DISPLAY=localhost:0.0
# export DISPLAY
# /usr/sbin/sam

 これでSSHだけが接続できるファイアウォール内のマシンでも、X上の管理ツールで作業できるはずだ。

 また、SSHのポートフォワード機能を持つPCXサーバーASTEC-Xを用いれば、Windows環境でもSAMの画面を操作できるようになる。

次回は

 以上のような作業の後、現在、www.unixuser.jpとしてこのマシンは稼働している。次回はWebサーバーとしての稼働までと、それにかかわるセキュリティ関連の設定を紹介する予定だ。

このページで出てきた専門用語
通常のXフォワードは利用できない
「-X」オプションでsshを起動するとXのフォワード機能が働くが、そのときにHP-UX上のXクライアントが、TCP通信ではなく、UNIXドメインソケットを利用してしまうため、「Can't open display」と接続できないようだ。X11R6.4を採用している比較的新しいOSでは同じ症状が出ているようだ。sshdのリコンパイルで対処できそうだが、実機での確認はできていない。また、標準ソフトウェアの独自コンパイルは、運用上の負荷になるので、TCP通信を明示できるよう、リモートフォワードで対処している。

6000番ポート
Xの通信ポートとXのディスプレイ番号は、ポート番号=6000+<ディスプレイ番号>という関係である。ディスプレイ番号1でXサーバーが起動していれば、6001番ポートのリモートフォワードを設定する。「- R 6005:192.168.0.10:6003」のように指定して、リモートは6005番(localhost:5.0)、ローカルは6003番(192.168.0.10:3.0)のように異なるポートでも問題ない。

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