導入進むIP電話にQoS向上を──アジレントが総合監視システム

アジレントは、IP電話のサービス品質を総合的に監視・管理するシステムを発表した。高品質のIP電話サービスを提供するモノサシにしてもらい、IP電話事業で収益を生む手助けをする。

» 2004年07月15日 17時42分 公開
[中嶋嘉祐,ITmedia]

 アジレント・テクノロジーは7月15日、法人向けIP電話サービスプロバイダーを対象に、サービス品質(QoS)の監視から、サービスレベル合意(SLA)要件順守の支援までをまとめて提供するシステム「アジレントVoIP QoSマネージャ」を発表した。

 ルータ、スイッチなどを経由するデータを分析し、ネットワーク全体を監視・管理するソフトメインのシステム。従来は機器間に直接つないで通信を調べるハードメインのシステムだった。IP電話が普及するのに比例して、サービス提供企業のネットワーク規模も拡大。監視すべきポイントが増えすぎ、従来型では対応しきれなくなっていたという。

 アジレントVoIP QoSマネージャは、監視・管理機能などを持つモジュールと、各モジュールの機能を統合管理するプラットフォーム「QoSマネージャ」で構成される。モジュールはそれぞれ、通話接続状況の監視、聞き取りやすさ・遅延・エコーといった音声品質の計測、ネットワークパフォーマンスの監視、通話データ経路のトポロジー表示、SLAレポート作成といった機能を備える。

photo モジュール構成

 音声品質やトポロジー表示といった機能を単独で提供する企業はいくつかあるが、トータルで提供できるのはアジレントだけだという。統合システムならではの利点があるとする。

photo

 例えば、QoSマネージャから音声品質監視のデータを見て、パケット損失の増加に気づく。接続状況の監視データからどの通話で問題が発生したかを突き止め、トポロジー表示から通話に使われた機器のルートを特定。ルート中の機器を詳細に調査し、障害を解析できる。

 「従来は実際に機器が壊れるまで問題に気づかないこともあったが、統合監視することで、問題を早期に解決できるようになる」(梅島正明通信計測本部長)。

 アジレントVoIP QoSマネージャは、MPLS(multiprotocol label switching)に対応。MPLS採用のIP-VPNサービスを、法人顧客向けに提供する企業も狙う。

 最小構成は、QoSマネージャにモジュール1種を併せ、約2000万円から。モジュール全種類を含む標準構成は、約1億−2億円。発表と同時に受注を始め、9月に出荷開始する。今後1年間で売上12億円を目指す。

IP電話を金にするには――

 Yahoo! BBなどがブロードバンド接続サービスと併せた形で提供しているように、「IP電話は国内で、付加的なサービスと見られている」(梅島本部長)。

 コスト削減などを理由にIP電話を導入する企業が増えているが、「付加的」なIP電話サービスで法人から収入を得るには、従来の電話に近い高水準のQoSが必要とする。

photo 従来と同程度の通話に必要な水準。顧客は最低保証でなく、ベストエフォートで説明を受けることが多かったという

 アジレントVoIP QoSマネージャでは、可用性、パケット損失、遅延、ジッタといった数値が設定値近くまで下がると、管理者にアラートを出す。SLA要件を守らせ、企業向けIP電話サービスから収益を生む手助けとする狙いがあるという。

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