Rational Software Development Users Conference開催、Eclipseをベースとしたコード統合が進む

テキサス州グレープバインで米国時間7月19日、「Rational Software Development User Conference 2004」が開幕。オープンスタンダードに準拠した開発ツールのプレビューが紹介された。

» 2004年07月20日 15時25分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 テキサス州グレープバインで米国時間7月19日、ソフトウェア開発者のための年次カンファレンス、「Rational Software Development User Conference 2004」が開幕した。会場となったコンベンションセンターは4月に完成したばかり。荘厳な中庭を抜け、2000人を超える参加者がIBMのRationalソフトウェア部門のゼネラルマネジャー、マイク・デブリン氏の基調講演を聞くために会場入りした。

デブリン氏 基調講演の壇上に立つデブリン氏

進むEclipseへの統合

「ソフトウェアデベロッパーは世界の駆動力」デブリン氏はこう話し、ソフト開発の重要性を説明する。ソフト開発の現場では、ライフスタイルの変化に応じて、迅速に、IBMの言葉を借りれば「オンデマンドで」それに対応していくことが求められている。

 同氏はニュージーランド銀行、UNISYS、米国特許庁などの事例を挙げ、IBMソフトウェアの採用により、ビジネスプロセスを含めた品質向上にオンデマンドで取り組むことに成功していることを紹介する。

 IBMは現在、オープンソースの「Eclipse Project」および「Eclipse IDE」を自社のコードベース全体に統合する取り組みを進めている。

「Eclipseの利用で、必要なソフトウェアを迅速に開発し、かつ、深いレベルで統合することができる。我々はこの統合を製品ライフサイクル全体にわたって進めるとともに、ビジネスモデリングや運用、テストなどの分野にも拡張する」(デブリン氏)

 こうした統合の推進による成果物は、年末までにリリース予定の「Atlantic」(開発コードネーム)で具体的に目にすることができる。品質管理やモデリングなどがEclipse 3.0をベースとした製品に統合された結果、これまでは別々のソフトを起動していったりきたりしていた部分がすっきりとまとめられ、ソフトウェア開発のライフサイクルが1つのアプリケーション上で完結することになる。IBMの開発活動とエコシステムの基盤となる「IBM Software Development Platform」では、「JavaServerFaces」(JSF)や「Hyades」、「UML 2.0」、「Service Data Objects」(SDO)などがサポートされるほか、C/C++のサポートも発表されている。オープンスタンダードを重視しているのも特徴といえる。

 Atlanticを使ったデモでは、JSFなどの利用による各都市の現在の気温を表示させるためのWebインタフェースを1アプリケーション上で作成し、喝采を浴びていた。

 また、ソフトウェアの開発・導入における指針として品質が重要であることも強調する。ソフトウェア開発における段階、役割、プロセスや成果物にフォーカスし、プロアクティブなソフト品質保証を可能にするツールやサービスを提供するフレームワークについても触れている。これは、HyadesにRational製品のコードを合わせることで、完成した各種パーツにEclipseを利用するベンダーや顧客との互換性が生まれ、各種ツールの指標となる機能ができあがるというもの。こうした取り組みを業界ごとに分けて進めることで、企業に合ったものを提供できることになる。

「企業は投資の見返りを期待している。今回発表した製品群が提供するさまざまな機能は、企業に真のチャンスを与え、世界を変えるものとなるだろう」

 20日の基調講演では、「スリーアミーゴ」の一人としてデベロッパーから尊敬されるグラディ・ブーチ氏が登場予定だ。

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