「経営に質の高い情報は不可欠」とOracleのフィリップス社長

「Oracle OpenWorld Shanghai 2004」のオープニングキーノートにOracleのチャールズ・フィリップス社長が登場し、「企業価値を創造するためには、ITの標準化、ITプロセスの改善、そしてより良い情報を生み出すことが必要だ」とし、そうした一連のステップを支援する「Oracle Information Architecture」を売り込んだ。

» 2004年07月20日 19時59分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 7月20日、上海で開幕した「Oracle OpenWorld Shanghai 2004」のオープニングキーノートにOracleのチャールズ・フィリップス社長が登場した。同氏は、上海インターナショナルコンベンションセンターのボールルームに詰め掛けた顧客やパートナーらに「企業価値を創造するためには、ITの標準化、ITプロセスの改善、そしてより良い情報を生み出すことが必要だ」とし、そうした一連のステップを支援する「Oracle Information Architecture」(OIA)を売り込んだ。

1月、社長に昇格したフィリップス氏は営業やマーケティングなどを統括する

 デジタルデータの幾何級数的な増加は、だれもが予想するところだ。遍在するネットワークやRFIDのような新しい技術の登場がさらに拍車をかける。フィリップス氏は「データブロードキャスティング」と呼び、すべてのものが単につながるだけでなく、絶えずデータを生み出していく次世代のコンピューティングの在り方を説明する。

 「部屋中が、データを生み出すものでいっぱいになってしまう」とフィリップス氏。

 こうしたデータの爆発的な増加は、この30年間、情報の格納をコアコンピタンスとしてきたOracleにとっては追い風だ。ローコストでデータを集めて管理し、さらにそれを分析・活用する、つまり、コストをかけずに質の高い情報を得るのは、Oracle Information Architectureが得意とするところだ、とフィリップス氏は話す。

組み立て済みの標準システム

 Oracle Information Architectureは、今年1月のOracle AppsWorld 2004 San Diegoで彼自身が時間を割いて説明をしている。これまでなら、「E-Business Suiteを導入すれば、企業を自動化できる」としてきたOracleだが、企業には既存のシステムがあり、すべてをE-Business Suiteに置き換えるというのは現実的ではない。新しい体系として昇華したOracle Information Architectureでは、グリッドインフラ、Data Hub、ビジネスプロセス統合(インテグレーション)機能、インフォメーションアクセス機能の各種レイヤが積み重なる。

 フィリップス氏は日本人プレスとのインタビューと同様、キーノートのステージでも、「あらかじめ組み立てられた」(Pre-Assembled)、「動作保証済み」(Certified)の「安全な構成」(Secure Configuration)のシステムが重要だと強調する。

 「何百というベンダーから部品を買い集め、システムを自分で組み立てたいという企業はない。組み立て済みの標準的な製品こそ求められている。組み立て済みの標準的な製品によって、ITプロセスが改善され、さらに情報の質も高まる」(フィリップス氏)

 こうしたOracle製品群を彼は「Oracle Stack」と呼び、Oracle自身の経験や先進的な導入事例から導き出されたベストプラクティスも顧客の問題解決のために最大限生かしていくと話す。

 「(Oracle Stackを)技術的に開発すること自体はそれほど難しいことではないが、われわれが掲げている“顧客志向”とは、顧客らがわれわれの技術や製品、サービスをどのように活用し、どのように問題を解決するかだ」とフィリップス氏。

 「単にテクノロジーやアプリケーションの会社だと思わないでくれ」──そうした彼の言葉はそれほど誇張でもない。金融、政府、通信といったインダストリーでは大きな強みを持ち、金融機関トップ25のうち24までがOracle製品を採用し、2000以上の政府機関もOracle製品を利用する。通信業界に至っては、トップ500の通信事業者すべてがOracleの顧客だ。

 社長に昇格したばかりのOracle ApplsWorld 2004 San Diegoで、フィリップス氏は、自身の重要な役割として、顧客中心のビジネスを主導していくことを挙げている。そんな彼らしく、キーノートの最後にも同社が最も優先すべき事項として「カスタマーリレーションシップ」を掲げた。

 「この30年、Oracleが強みを築くことができたのは、顧客らのおかげだ。今後も顧客を理解し、製品やサービスによって彼らのニーズを満たしていきたい」(フィリップス氏)

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