「21世紀の日本に貢献できる企業になる。売り上げ1兆円を目指す」日本HP樋口社長

日本HPの樋口社長兼CEOは、企業戦略説明会で、就任後の1年あまりで進めてきた施策について説明し、大きな成果を上げたとするとともに、「2010年には売り上げ1兆円企業になりたい」と語った。

» 2004年07月20日 23時14分 公開
[佐々木千之,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は7月20日、樋口泰行社長兼CEOが昨年5月の現職就任後1年強が経過したのを期に、報道関係者を集めて企業戦略説明会を開催した。

樋口泰行社長兼CEO 樋口泰行社長兼CEO

 樋口社長はまず、就任後の1年あまりに自身がやってきたこととして、お客様中心主義の徹底、社員が生き生きと誇りを持って働ける環境作り、HPブランドを浸透させるためのブランドキャンペーン展開、の3つを挙げた。

 日本HPは5月1日から事業活動を、「エンタープライズ・公共部門」、「中小・中堅企業」、「コンシューマ」の3つのセグメントに分ける「セグメント戦略」を取っている。これは樋口社長の進めるお客様中心主義の一つで、これまでハードウェア、ソフトウェア、サービスなど製品別に分かれてきた組織を、市場セグメント別にシフトさせるもの。

 これによって、エンタープライズ・公共部門では、経営とITが同期して変化に柔軟に対応できる「アダプティブ・エンタープライズ戦略」をより推進できるとしている。メインフレームの置き換えや運用管理、Linuxシステム構築など同戦略の鍵となるソリューションを選び、社長直結で200人からなるタスクフォースチームを投入するとともに、ITシステム全体のグランドデザインを描けるITシステム設計者の倍増、パートナーとの連携体制強化などを行っていくという。

HP自身もアダプティブ・エンタープライズを推進中 HP自身もアダプティブ・エンタープライズを推進中。この2年間に35億ドルの節減に成功したという

 日本の企業数の99%を占め、ITへの関心や投資が最近活発化しているという中小・中堅企業(SMB)向けには、製品からサービスまで多岐にわたるニーズに、これまでの導入実績やフィードバックを生かしたIT導入支援コンセプト「スマートオフィス」を提唱、専門組織を設立してSMB向けに特化した販売、マーケティング活動を行っていく。

 コンシューマ向けでは、残念ながら米HPのカーリー・フィオリーナ会長兼CEOが1月のCESで発表した、「iPod」ベースのデジタル音楽プレーヤーをはじめとした家電戦略については、「お話しできる時期になったら」ということで触れられなかったが、プリンタ製品については「この分野は日本市場が先行指標。日本向け製品にHPの基盤技術を加えて世界標準にする」という。実際に日本向けに開発したインクジェットプリンタのオール・イン・ワン(AiO)化によって新市場を創出し、AiO市場で世界の40%、日本でも30%以上のシェアを得たとした。

 また、HPが会社の目的として掲げている「まず良き市民であれ」というグローバル・シチズンシップ経営の一環として、ITを利用して障害者や社会的弱者が自立するための支援活動や情報化社会を生きる想像力豊かな子供の育成を目指したIT教育プログラムなどに、経常利益の1%を継続的に投資していくという。

 樋口社長は最後に、日本HPの目指す方向について触れ、「HPは技術を大事にする会社。お客様に将来に渡る技術を示しつつ、お客様と共に客様のビジネスのお手伝いをしていく。21世紀の日本社会に貢献するIT企業になる」と述べた。そしてそのために、2003年度約3700億円の売り上げを2006年に5000億円、2010年には3倍弱の1兆円に引き上げたいとの目標を披露した。

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