IDC Japan、2004〜2008年の国内産業分野別サーバ市場動向および予測を発表

IDC Japanの予測によれば、2004〜2008年におけるサーバ市場は楽観視できない厳しい状況にあるようだ。

» 2004年07月28日 16時18分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは7月26日、国内における2004〜2008年の産業分野別サーバ市場動向および予測を発表した。対象となる製品は、メインフレーム、RISCサーバ、x86サーバ。

 同報告によれば、2003年下半期(7〜12月)の国内サーバ市場は、出荷台数が22万1610台で、成長率は前年同期比13.0%の伸びを示した。しかし、出荷金額は3180億3400万円で、成長率は前年同期比でマイナス7.0%となった。

 2003〜2008年の国内サーバ市場における金額ベースの年平均成長率(CAGR)はマイナス5.6%となり、2003年のサーバ市場出荷金額が6579億3300万円であるのに対し、2008年の出荷金額は4928億4100万円になるだろうと予測。

 業種別の予測では、金融と公共・公益が全体よりも低いCAGRで、金融がマイナス11.5%、公共・公益ではマイナス11.2%の見込み。これは、金融業の中でもっともIT投資規模の大きい銀行において、店舗数減少、共同システムの利用促進、オープンシステム化などの要因が生じ、IT投資が拡大する環境を失っているためという。また、公共・公益も設備投資抑制を継続している状況だ。

 流通小売・卸売と教育分野は、成長率で全体の平均を上回り、流通小売・卸売はマイナス0.7%、教育は1.1%と予測している。流通小売・卸売では、コンビニエンスストアの多機能化、スーパーマーケットの流通効率化がさらに強化されるほか、トレーサビリティシステム導入も2005年以降にIT投資要因として大きな影響を与えると見ている。教育分野の市場規模は小さいが、IT化された教育設備、研究機関は不可欠な状況であり、国立大学法人化により学校間の競合も激しくなるため、産業分野との連携による研究活動なども活性化され、IT投資の成長率も増加すると考えられる。

 製造、運輸、通信・メディア、官公庁、サービス分野は、ほぼ全体のCAGRと同じ成長率が見込まれる。製造業では、デジタル家電製品、電子部品、鉄鋼などの業種が好調を持続し設備投資も活発だが、2005年以降は急激に伸びたアジア地域の需要が頭打ちになることで業績の急拡大は続かず、IT関連投資の成長率も大きくは伸びは見込めそうにない。通信・メディア、情報サービス分野では、ブロードバンド、高機能携帯電話の普及、デジタル衛星放送開始、光ファイバー伝送路の普及拡大など、通信インフラ環境改革による新しいビジネス機会が生まれることが、IT投資の拡大要因と考えられる一方で、通信業については今後も通信料金の値下げ競争により収益が圧迫され、IT投資の抑制要因となることも考慮する必要があるとしている。

 同社のITスペンディングリサーチマネージャー塚本卓郎氏は、「サーバ市場は価格低下の進行により、台数ベースでは市場が拡大するが出荷金額の成長率はマイナスが継続する。この状況下で、プロセス製造、通信、流通小売、教育、がサーバ市場の成長する産業分野として期待される。また今後企業では直接に製品販売増加を目的とした、戦略性の高いシステム構築に目を向けてくるだろう。サーバ製品ベンダーもこれに対応すべく準備を行う必要がある」と分析している。

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