旧ボルチモアが社名変更、広範なセキュリティ事業展開へ

日本ボルチモアテクノロジーズは、社名をビートラステッド・ジャパンに変更し、コンサルティングを含めたセキュリティ事業を展開していく。

» 2004年07月30日 12時31分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 日本ボルチモアテクノロジーズは7月29日、社名を変更し、ビートラステッド・ジャパンとすることを発表した。

 同社はもともと、PKI製品「UniCERT」などを開発、販売するアイルランドのBaltomore Technologiesの出資を受けていたが、Baltimoreの業績はITバブル崩壊を経て悪化。UniCERTをはじめとするPKI事業をBetrustedに売却していた。並行して旧日本ボルチモア側も出資比率および体質改善を図るとともに、提携先をBetrustedに変更。今年3月にはBetrustedより28%の出資を受けている。

 今回の社名変更は、一連の動きの延長線上にあるもの。社名変更を機に、旧ボルチモア時代に主力製品としてきたPKIにとどまらず、コンサルティングも含めた幅広いセキュリティソリューションを手がけていく方針だ。これを踏まえ、従来からの国内パートナーとの関係を維持、拡大すべく、話し合いも進めているという。

 BetrustedのCEOを務めるジョン・P・ガービー氏によると、同社は買収などを通じて製品ポートフォリオを拡大しており、売上高は、全世界のセキュリティベンダーの中でも10位に入るという。中でも最もプレゼンスが大きいのはヨーロッパ/アフリカ地域というが、ビートラステッド・ジャパン創設を機に、日本およびアジア地域向けの販売に力を入れていくという。

ガービー氏 今後は「ワイヤレス機器のセキュリティや規制準拠といった分野にも着目する必要があるだろう」と述べたガービー氏

 「現在、セキュリティ市場は変化しつつある。ワンポイントソリューションから、全体的な視点に立ったリスクマネジメントへの取り組みが求められるようになっている」(ガービー氏)。

 特に注力するのが、「ITインフラ/資産の保護」「アイデンティティ/アクセス管理」、それに「リスクマネジメント」の3分野だ。

 Betrustedのアジア地域担当ゼネラル・マネジャー、ジェレミー・ピッザーラ氏によると、既にいくつか日本投入を予定している製品/サービスがあるという。その1つが、振る舞い/アノーマリ検出技術を採用した侵入検知システムだ。誤警報や取りこぼしを減らせる点が特徴だが、顧客の環境に合わせた学習やカスタマイズを支援するコンサルティングと組み合わせて提供していく計画という。他に、組織をまたいでの認証やアクセス制御を実現するSAML対応の協調型アイデンティティ製品も投入する方針だ。

 またリスクマネジメントの分野では、「セキュリティリスク全体を管理する『セキュリティライフサイクルプログラム』という手法を展開していく」(ピッザーラ氏)。

 Betrustedではコンサルティングを軸に、自社製品だけでなくサードパーティ製品を組み合わせたソリューションを展開していく。顧客社内のインソースのみならず、アウトソースのニーズにも対応することで、「複雑なセキュリティ問題の解決を支援する、顧客にとっての『信頼できるアドバイザー』になりたい」(ガービー氏)という。

 顧客から見れば、こういったソリューションを導入するうえで必須の検討事項が投資効果である。残念ながら、「何か悪いことが起こらないようにする『防御型』セキュリティは保険のようなもので、ROIを算出するのは難しい」とガービー氏。しかし、「VPNや協調型アイデンティティのような、ビジネスの成功要因となるセキュリティならば投資効果の計算は可能だ。いずれにしてもセキュリティは、単体のアイテムではなく、ビジネスを可能にするIT開発の一部としてとらえるべきだ」(同氏)という。

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