基幹向けでもトップを狙うデル、「サービスが重要」と浜田社長(1/2 ページ)

64ビット拡張機能付きXeon搭載の新しいPowerEdgeサーバを発表したデルは、エンタープライズ向けのハイエンドサーバ市場でもトップを狙うと宣言。サービスの拡充に最優先で取り組むと話す浜田社長に話を聞いた。

» 2004年08月02日 22時22分 公開
[浅井英二,ITmedia]

64ビット拡張機能付きXeonを搭載した第8世代のPowerEdgeサーバを世界同時発表した8月2日、デルの浜田宏社長は、これまでになく力を込めてエンタープライズ市場への取り組みを話した。既に法人売り上げが8割を超え、IAサーバの台数シェアも並み居る国産ベンダーを押さえ、第1四半期は首位に踊り出た。しかし、「金額ベースではまだまだ」と浜田氏。エンタープライズ向けのハイエンドサーバ市場で確固たる地位を築くためにはチャレンジがたくさんあり、中でもサービス拡充が重要だと話す。

「コツコツ」とヒットの積み重ねが大切と話す浜田氏

ITmedia デルの日本法人は既に売り上げの8割以上が法人向けだと思いますが、敢えて新しいPowerEdgeサーバの発表を機に「エンタープライズ分野でもナンバーワンになる」と宣言したのはなぜでしょうか。

浜田 今年の第1四半期(1〜3月)、デルはIAサーバ市場でNECを抜き、トップに立ちました。第2四半期(4〜6月)は首位の座を明け渡しましたが、シェア自体は上がっています。レースでいえば、抜きつ抜かれつ、といったところですが、通年ではナンバーワンになれると思います。

 しかし、これは台数ベースであって、金額となるとまだまだです。金額でもナンバーワンになろうとすれば、エンタープライズ向けのハイエンドサーバ市場で確固たる地位を築く必要があり、そのためにはチャレンジがたくさんあり、それを解決しながら舵を切っていくという意味でお話をしました。

 デルは、初歩的な問題をこなしながら、しだいに応用問題に挑戦していく会社だと思います。コツコツと地道にローエンドからミッドレンジの市場を固め、これからハイエンドサーバの領域に入っていきます。ライバルたちにとってみれば、「いよいよ来るか?」といったところではないでしょうか(笑い)。

ITmedia コツコツですか?

浜田 ライバルたちの中には、「デルにハイエンドなんて無理」と考えているところもあるでしょう。振り返ってみると、日本市場に参入したときから始まって、ノートブック、サーバ、コンサルティングサービス、プリンタ、テレビ……、デルが新しい領域に入っていくたび、いつも「無理」だと言われてきました。しかし、われわれは逆風の中、コツコツとビジネスを積み重ね、例えばIAサーバでは6年半で首位に立つことができました。

 派手な買収によって製品やユーザーを手に入れるといったことをするのではなく、デルはヒットを積み重ねていく会社です。打席に立てば必ず出塁を狙うイチローだと思ってください。いずれIAサーバのすべてのセグメントで首位に立てるでしょう。

デルを選ぶ企業は賢い

ITmedia 日本の顧客企業は、ソフトウェアやサービスまで、すべて任せられるベンダーを好む傾向があると思います。製品もサービスもIAサーバだけのデルに果たして自社のITを任せるでしょうか。

浜田 日本市場は、ご存じのとおり、メインフレームの比率が高く、おまけにオフコンという独自のものまであります。しかし、着実に市場は変わりつつあります。

 例えば、RISC/UNIXの市場を見ると、2〜3年前には6万台だったのに年々1割ずつ縮小し、今年は4万5000台程度になるとみられています。それに対してIAサーバは50万台近くまで市場が拡大しています。デルは唯一、IAという標準化された技術に特化しており、われわれにとっては明らかに追い風です。

 デルを採用する顧客企業は、意識の高いITユーザーであり、アンチ国産ベンダー派と考えていいでしょう。NEC、富士通、日立……、多くの選択肢がある中、敢えてデルを購入したわけですから、バーター取引や系列取引とは無縁、メインフレームの呪縛やシステム丸抱えとも無縁な新しい世代の顧客なのです。

 考えてみれば、われわれは海外ベンダーだし、IA専業です。系列企業でもないし、バーター取引があるわけでもない。エンタープライズ向けのビジネスができない要素は100%そろっています(笑い)。

 しかし、先進的な企業は偏見のない目でわれわれを選択してくれています。良い製品とサービスを安く買う賢い企業は、本業も伸ばせるはずです。デルのシェアが伸びるということは、「新世代企業」が力を付け、国際競争力が増し、日本の経済にとってもプラスになるのではないでしょうか。

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