Linuxも追い風? MSのローディング社長がエンタープライズ事業に「80点以上」の自己採点

新年度の経営方針をプレス向けにブリーフィングしたマイクロソフトのローディング社長は、この1年のビジネスの成長、特にエンタープライズ分野における進展に十分満足しているとした。

» 2004年08月10日 17時55分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 8月10日、都内のホテルで7月から始まっている新年度の経営方針をプレス向けにブリーフィングしたマイクロソフトのマイケル・ローディング社長は、この1年のビジネスの成長、特にエンタープライズ分野における進展に十分満足しているとした。昨年7月1日付けで代表取締役社長に就任したローディング氏にとって、2004会計年度は船出の最初の年といえる。

課題だったエンタープラズ事業の進展に自信を見せるローディング氏

 7月下旬に発表されたMicrosoftの2004会計年度売り上げは14%増の368億4000万ドル。各国別の売り上げは公表されていないものの、ローディング氏は「日本でも同様の成長が見られた」とし、中でも「Go to Market」戦略を掲げ、陣頭に立って組織から見直したエンタープライズ分野における取り組みには、「80点台の後半」という自己採点。

 マイクロソフトが掲げるGo to Market戦略とは、同社が提供する技術革新の価値を顧客に理解してもらい、それを最大限に利用できるようにするアプローチ。かつてのように単に「サーバを買ってください」ではなく、「Connected System」(統合されたシステム)として高い開発効率をメッセージとして伝えたり、「Connected Productivity」(統合された生産性)としてホワイトカラーの高い生産性をアピールするといった具合だ。

 特に大手企業700社とその関連企業を合わせた約2万社をカバーするエンタープライズビジネス部門には、公共、流通&リテール、製造、金融、および通信&メディアという業種別のソリューション本部が設けられている。そこでは、安定したビジネスの継続をローコストで担う「オペレーションインフラ」、ホワイトカラーの生産性とコラボレーションのための「インフォメーションワーカーインフラ」、そして企業が新たなビジネスバリューを実現できるXML Webサービスベースの「アプリケーションインフラ」を3つの柱とし、各業種ごとにソリューションを提案し、パートナーらによってさらに高い価値が顧客に提供できるようにしている。

 「かつては組織も整っておらず、価値も顧客らにうまく伝えられていなかったと思うが、この1年で大きく進展した」とローディング氏。

 その進展を計る指標として彼が挙げたのが、「NotesからExchangeへの移行」「NT4からWindows Server 2003への移行」、そして、百五銀行のバンキングシステムに代表される、さまざまな「事例」だ。

Linuxも追い風?

 ブリーフィングに同席したエンタープライズビジネス担当の平井康文常務からは、「ビジネスは好調。逆にLinuxがWindowsというプラットフォームの追い風になっている」と意外なコメントまで飛び出した。企業の基幹業務にLinux適用の可能性が盛んに議論されたため、UNIXやレガシーでなければ難しいという固定観念は薄れつつある。漁夫の利ではないが、「ならばWindowsではどうか?」と、選択肢のひとつとして検討され始めているというのだ。

 Linux“神話”を突き崩すべく、事実に基づいた価値をアピールする「Get the Fact」キャンペーンも奏効し、数年前には感情論だった「Linux vs. Windows」は、機能性や特徴、さらには顧客にもたらす価値へとの議論の質が変化しているとローディング氏も話す。

 「われわれには追い風」とローディング氏は強気だ。

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