Sun、「HP Away」プログラムを拡大しOpteronを追加

Sun Microsystemsは、HPの顧客を奪うことを狙った「HP Away」プログラムの対象に、64ビットOpteronプラットフォームも追加する。

» 2004年08月19日 21時02分 公開
[IDG Japan]
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 Sun Microsystemsは、RISCベースのHP-UXサーバを使っているHewlett-Packard(HP)の顧客を奪うことを狙ったプログラムで新たな戦術を採用する考えだ。Sunの「HP Away」プログラムの一環として、HPのRISC/UNIXボックスを運用しているユーザーが、Advanced Micro Devices(AMD)の64ビットOpteronプラットフォーム上で動作するSunのSolarisシステムに乗り換える場合にも、Sunの支援を受けられるようにするというもの。HP Awayは2003年7月15日から実施されており、HP-UX/RISCユーザーがSPARC搭載Solarisシステムに移行するのを支援するプログラムとしてスタートした。SPARCはRISC技術をベースとするSun独自のマイクロプロセッサ。

 HPは2005年に、自社のRISCプロセッサプラットフォームの開発を中止する計画であり、ユーザーに対して自社のRISCベースの「HP 9000」マシンからIntelのItaniumを搭載した自社の「Integrity」サーバに移行するよう促している(2月10日の記事参照)。

 HPは今週シカゴで開催中のHP Worldで、RISCベースのHP 9000サーバとItaniumベースのIntegrityサーバに対応した共通UNIXプラットフォーム「HP-UX 11i v2」をリリースした(8月17日の記事参照)。HPによると、これによりHP 9000サーバからIntegrityへの移行が容易になるという。

 Sunが特にHPの顧客に狙いを定めている最大の理由もそこにある。SPARC製品を抱えるSunは、現在でもUNIX/RISC分野の大手ベンダーである。しかし、IDC Canadaのリサーチアナリスト、グレッグ・アンブローズ氏によると、SunはHP-UXユーザーだけでなく、RISCベースのIBM AIXマシンのユーザーもターゲットにしているという。

 「現在、UNIXサーバ市場では新たな成長が起きている。その結果、この市場のすべてのプレーヤーが互いに相手の顧客を狙い、少しでも優位に立とうとしている」とアンブローズ氏は話す。

 同氏によると、カナダにおける2003年のUNIX/RISC市場の規模は約4億2500万米ドルで、HPはそのうち37%のシェアを確保した。それに続くSunのシェアは34%で、IBMは27%となっている。

 「しかし台数ベースでは状況が異なる」と同氏は指摘する。2003年にカナダで販売された1万5000台のUNIX/RISCボックスのうち、Sunのマシンは1万500台と圧倒的多数を占めた。これは、HPおよびIBMと比べると、Sunは主としてローエンドのRISCサーバを販売しているからだ。ハイエンド分野で競うHPとIBMの出荷台数はそれぞれ約2000台。残りの500台はその他のベンダーが販売したもの。

 「Sunは基本的にRISC/UNIXベンダーであり、その傾向はIBMとHPよりも強い。同社は最近、Intelベースの製品も投入したが、現在でも同社のビジネスの98%はRISC/UNIXベースだ。一方、HPとIBMはより広範なプラットフォームの選択肢を顧客に提供している。両社はいずれも、Intelプラットフォームを持っており、Itaniumの採用も進めているのに対し、Sunは競争の激しいRISC/UNIX分野にフォーカスしている」(アンブローズ氏)

 Sunはx86分野にも力を入れ始め、64ビット市場でOpteron製品を新たに追加したものの、短期的にはそれほど大きなインパクトはないとアンブローズ氏はみる。

 「これが、Sunの顧客ベースや同社が獲得を狙っている顧客の間でどれほど関心をを呼び起こせるか疑問だ。Opteronは新しい技術であり、カナダの市場にも進出し始めているが、基幹業務用のサーバプラットフォームとして確立するまでの道のりはまだ遠い」(同氏)

 HP Awayプログラムの基本的な狙いは、HP-UX/RISCユーザーの移行を支援することにある。オンタリオ州マーカムにあるSun Microsystems Canadaでクライアントサービスを担当するプロジェクトマネジャー、キース・ベイラ氏によると、Sunでは同プログラムの適用対象となるユーザーが移行プランを作成する手助けをするという。具体的には、顧客が技術要件や、SPARC搭載Solarisシステムに移行するのにかかるコストを検証するのを支援する2日間の無料ワークショップなどがある。

 HP Awayプログラムの適用要件を満たした顧客には、Tru64またはHP-UXからSolarisへの移行に関する2週間の評価サービスも提供される。ユーザーが移行を決断すれば、Sunのプロフェッショナルサービスグループに料金を支払う必要があり、同グループは新しいプラットフォームへのアプリケーションの移植を手伝う。ユーザーが移行しないことを決めた場合は、Sunが評価サービスの費用を負担する。

 さらにSunによると、HP-UX/RISCサーバを対象としたローンプログラムや下取りプログラムも実施しているという。

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