それでは、VS2005がどのように変化したのかを具体的に見ていくことにしよう。改めて言うまでもなく、Visual Studioとは、ウィンドウやWebページをフォームとして構成し、デザイナ画面で各種コントロールを貼り付けて開発可能なGUIベースの開発環境だ。VS2005では、デザイナ画面に幾つかの機能が追加され、より使いやすくなった。
通常、開発者は、フォームにコントロールを貼り付けたあと、そのコントロールに対して幾つかのプロパティを設定していくことになる。
VS2005では、コントロールへのプロパティ設定を支援する機能として、スマートタグが用意された。スマートタグは、コントロール右上の三角マークをクリックすると、アクションウィンドウとして表示される。また、幾つかのコントロールは、フォームに配置しただけで自動的にアクションウィンドウを表示する。
スマートタグには、そのコントロールに対する代表的な設定項目が用意されている。開発者は、その項目から選べば、まとめてプロパティを設定できるというわけだ(画面1)。
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コントロールによっては、プロパティ設定だけでなく、必要なコードの自動生成をしたり、ウィザード起動するものもある。
たとえば、データバインディングを行い、データベース内のデータを表示するコントロールでは、スマートタグから操作することで、必要な接続の作成からどの列の値をどのように取得するのかまで、ウィザード画面を通して設定が可能だ。
Visual Studio.NET 2003では、自動生成されるコードは、#Region〜#End Region(C#の場合には#region〜#endregion)で隠されており、開発中のソースファイルに記述された。つまり、ひとつのファイルに「開発者が記述したコード」と「自動生成されたコード」が混じり合っており、比較的可視性が悪く、また、開発者が誤って自動生成されたコードを変更すると、デザイナ画面が正しく動作しなくなるという恐れがあった。
しかしVS2005では、自動生成されるコードは、「*.Designer.vb」(VBの場合)や「*.Designer.cs」(C#の場合)という別ファイルに記述されるようになった(画面2)。
「開発者が記述したコード」と「自動生成されたコード」の2つのファイルは、最終的には、ひとつのクラスとして、まとめてビルドされる。この機能は、.NET Framework 2.0で搭載された、クラスを複数のファイルに分割できる「Partialタイプ」と呼ばれる機能による実装だ。
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いままでVisual Studio.NET 2003を使っていた開発者で、特にコード中心に関わっていた人は、VS2005の場合プロパティ設定やコントロールのインスタンス設定などのコードが見あたらないため、最初は戸惑うかもしれない。しかし、ソリューションエクスプローラで「すべてのファイルを表示」を指定し、*.Designer.vbや*.Designer.csを参照すれば、自動生成されたコードを確認できる。
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