巨大パッチSP2はWindows XPをどう変えるか(3/3 ページ)

» 2004年08月26日 10時16分 公開
[IDG Japan]
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Bluetoothブルースはもう聴かない

 Bluetoothユーザーは喜ぶべし。SP2にはMicrosoft製「Bluetooth Client 2.0」が付属する。自社製のBluetoothキーボードとマウスしかサポートしていなかったClient 1.1と比べると格段の進歩を遂げた。バージョン2.0はControl Panelアプレットが搭載され(BluetoothがPCに搭載されている場合のみ表示される)、Bluetoothデバイスの検知と設定を行うためのよくできたウィザードが用意され、トレイアイコンにより、Clientにアクセスし、接続されているBluetoothデバイスをモニタリングできる。このウィザードでは任意の接続されたBluetoothデバイスのパスキーを選ぶことができる。これは重要な機能で、そのデバイスが1台のコンピュータとしか通信できないように、特定PCにロックするものだ。

 Bluetoothトレイアイコンからは、Bluetooth Devices Control Panelアプレットを簡単に起動でき、互換デバイスにファイルを送受信することができる。BluetoothベースのPersonal Area Network(PAN)でファイルを共有するなどのタスクも実行可能だ。また、個々のBluetoothデバイスをサスペンドすることでノートPCを省電力化することもできる。これこそがあるべき姿であり、XPはこれまでBluetoothチャンピオンであったOS Xと比肩できるほどになった。これに対してLinuxは、Bluetoothデバイスの基本的なサポートしかできていない。

Tablet PC Editionが機能アップ

 Windows XP Tablet PC EditionのユーザーがSP2をインストールすると、システムは「Windows XP Tablet PC Edition 2005」にアップデートされる。新たにコンテキストセンシティブとなったTablet Input Panel(TIP)が搭載され、スタイラスを使ってドキュメントにテキストを挿入するときには常にこのダイアログボックスが表示される。旧バージョンのTIPは画面下の位置に固定されていたが、新版ではテキスト挿入の場所に移動する。新TIPではリアルタイムで手書き文字認識を行うため、アプリケーションにテキストを挿入する前に文字修正が可能だ。

デジタルメディア&マルチメディア

 Microsoftは2004年にデジタルメディアにおける最大級のコンポーネント(Windows Media Player 10など)を別途、出荷予定だ。SP2は数多くのマルチメディアアップグレードが施されており、その多くはWindows Media Player(WMP)9、Windows XP Media Center Edition 2004など、別個にリリースされていたものだ。

Media Playerにオンライン機能追加

 2002年末に、Microsoftはメディアプレーヤーのメジャーアップグレードを行った。Windows Media Player 9 Seriesである。WMP 9のダウンロードはオプションとなっていたが、SP2では別途ダウンロードする必要はない。OSのコア部分に組み込まれているからだ。このバージョンのWMPは不必要に複雑なものではあるが、オンラインミュージックとビデオにリンクするためのオールインワンプレーヤーとなっている。同じ機能を多く持つAppleのエレガントなiTunesと比較すると、WMP 9はユーザーインタフェースに混乱が見られる。例えば、小さなボタンがたくさん並んでいて、それが何を意味するのかを調べるためには、マウスポインタを上に乗せていかないといけないのだ。

進化するMedia Center Edition

 Media Center PCをアップグレードしたユーザーは、OSの名前が「Windows XP Media Center Edition 2004」に変わっていることに気づくはずだ。ユーザー体験がより洗練されたものになり、ワイドスクリーン表示、FMラジオのサポート、番組ガイドと録画機能の強化、オンラインサービスの統合などが施されている。Media Center Edition 2004は必携だ。そしてSP2リリースの2カ月ほど後、Media Center Editionにはさらなる重要なアップグレードが実施され、さらに魅力的な機能が追加される予定だ。

Service Pack 2のパッチは不完全?

 総じて言うと、Windows XP SP2はWindowsの状態をかなり改善してくれる。このパッチでMicrosoftが採用したプロアクティブな手法は、プライオリティを変更したということで歓迎すべきところだ。しかし、Windows Firewall、IEのポップアップ遮断機能、IE Manage Add-ons機能をもってすれば現時点でのセキュリティ問題の多くに対処できるのは確かだが、SP2は将来の潜在的なセキュリティ問題に関しては表面的に対応したにすぎない。

 例えば、Windows Firewallは外部への接続をブロックしてくれるが、サードパーティ製アプリケーションの代替になり得るわけではない。LinuxやAppleのMac OS Xといった競合OSと比較すると、SP2を追加したとしても、搭載PCすべてに防弾ガラス付きのセキュリティを確保したと言い切るにはほど遠い。

 それにもかかわらず、SP2が持つセキュリティ機能が、すべてのWindowsユーザーにとって新たな基準となることは避けられない事実だ。SP2は現在そして将来におけるすべてのセキュリティ問題を修正することはできないが、ハッカーがSP2を当てたWindows XPシステムに押し入るのは、以前ほど容易ではなくなる。そして、すべてのXP搭載PCにSP2が適用されていれば、インターネット全体がより安全なものになるだろう。

Windowsロードマップ

 さまざまな特別版Windows(そしてその関連製品)が存在するため、Microsoftが出すソフトウェアのリリース計画を把握しておくのは難しい。そのために、2004年夏現在のWindowsロードマップを記しておこう。Microsoftはアップデートの期日を正式にアナウンスしたがらない。また、すべてのMicrosoft製品は、かなりの確率で出荷が遅れるのだ。

●2004年

Windows Media Player 10 2004年晩夏:WMP 10はインタフェースがよりシンプルなものになり、Microsoft版DRM(デジタル著作権管理)をサポートする。これにより、音楽サービスからの楽曲ダウンロードが可能となる。
Windows XP Media Center Edition 2004年末:Media Center Edition 2004のアップデート(コードネームはSymphony)により、いくつかの優れたビデオおよびオーディオ機能が追加される。
Windows XP 64-Bit Edition for 64-Bit Extended Systems 2004年後半もしくは2005年初めを予定:Advanced Micro DevicesおよびIntelの64ビットプロセッサの性能を生かすべく、最適化されている。

●2005年

Longhorn Beta 1およびBeta 2 2005年を予定:次期Windows(コードネームはLonghorn)β版は、Microsoftの未来的な3D「Aero」ユーザーインタフェースを提供しているはず。

●2006年

Longhorn Release Candidates(RC) 2006年初めを予定:リリースが近づくにつれ、Microsoftは機能セットをロックダウンし、性能面、最終的な適合性問題に取り組む。
Longhorn出荷 2006年中頃を予定:この新OSでは、過去のWindowsよりもLinuxやMac OS Xに近いセキュリティ機能とハッキング防止コンポーネントが売り物。
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