CMS導入は企業の社会的責任〜米Stellentのメイシー氏コンプライアンス対応は不可避(1/2 ページ)

「Content Management Forum 2004」の講演で、米Stellentのプロダクト・マーケティング部門バイスプレジデントのデイビッド・メイシー氏は話し、コンテンツマネジメントシステム(CMS)の方向性を明らかにした。

» 2004年09月01日 00時34分 公開
[岩崎史絵,ITmedia]

 「いままでのコンテンツマネジメントソリューションは、増大化する文書や情報の効率的な管理に焦点を当てた技術指向のアプローチだった。しかし2004年以降は、規制や法令遵守の観点から、企業の社会的責任を果たすためのソリューションへと変貌してきている」

 8月31日、東京コンファレンスセンター・品川で開催された「Content Management Forum 2004」の講演で、米Stellentのプロダクト・マーケティング部門バイスプレジデントのデイビッド・メイシー氏は、コンテンツマネジメントシステム(CMS)の方向性について話した。

満員の会場で話すメイシー氏

 日本でCMS市場が立ち上がったのは数年前。Webコンテンツをはじめ、Word、Excelといった汎用ファイルや画像など、さまざまなデータを効率的に管理するシステムとして登場した。数値データなど構造化されたものはデータベースにストックできるが、こうした非構造化データはPCや部門サーバに分散しがちだ。

 その結果、情報が拡散したり、ファイルサーバへの投資が増大するなど、業務効率やTCOの観点から見ていろいろな問題を抱えることになる。

 だが、ユーザーの立場からすると、CMSの重要性を認識しているとはいえ、実際の導入に結び付くケースは少なかったようだ。その原因の1つとして、目に見える形での効果がわかりにくかったことが挙げられる。業務にひも付いたパッケージソリューションと異なり、いわばインフラ部分に対する製品なので、差し迫った必要性を感じなかいためだろう。

 メイシー氏は1992年から2004年にいたる12年間にわたるCMSの変遷を語る。ちなみにStellentが設立されたのは1990年。Stellentの歴史とともに、CMS市場も成長していったとも言える。

 メイシー氏によると、1992年は「電子ドキュメント」に主眼が置かれていた。紙の書類を効率的に保管するためにイメージデータを取り、コンピュータの中に保存しておくアプローチだ。物理的な保管スペースを省き、効率的に書類を管理する手段として、大きな役割を果たしたといえる。

 その5年後の1997年には、インターネットの台頭によってドットコムビジネスが幕を開けた。増大するコンテンツや文書データを技術的なアプローチで効率的に管理しようというものだ。だが、ドットコムバブルの崩壊とともにIT投資もダウン。単なる文書管理ソリューションとしてのCMSは市場から受け入れにくくなってしまったわけだ。

さまざまな規制やルールに対応する手段

 だが、ここへ来て状況が大きく変わってきている。その理由として挙げられるのが、コンプライアンスや規制への企業の取り組みだ。たとえば日本でもポピュラーなISOをはじめ、米国ではエンロン事件が引き金となった「企業改革法」(サーベンス・オクスリー法:Sarbanes-Oxley Act、以下SOX)への対処が挙げられる。

 「実際にMETA Groupが約200社を対象に実施したアンケートによると、『どの規制に合わせるためのプロジェクトに投資しているか』という問いに対し、SOXへの対応や医療保険規制に対するプロジェクトを進めている企業が56%にのぼった」(メイシー氏)とのこと。

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