“Enterprise”Dell Days開催、デルを成功へと導いたITシステム変革とは?(1/2 ページ)

かつてはレガシー技術で構築されたDellのITシステムがどのように変革されたのか? 「“Enterprise”Dell Days」でデルの山田CIOは、デルモデルを支える同社のIT戦略を明かした。

» 2004年09月03日 17時48分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「スケーラブル・エンタープライズ・コンピューティング」を掲げ、ITソリューションベンダーを目指すデルが9月3日、都内で「“Enterprise”Dell Days」を開催した。オープニングの基調講演にはデルで情報システム本部長(CIO)を務める山田祐治氏が登場し、「デルモデル」を支える同社のIT戦略について話した。

具体的な数値目標を挙げながらデルのIT戦略を紹介する山田CIO

 Dellのスケーラブル・エンタープライズ戦略とは、標準化が進み、コモディティーとなった2ウェイ、4ウェイのIAサーバを組み合わせて効率の良いシステム構築を図るアプローチ。ビジネスの成長に応じて柔軟にシステムを拡張できるため、TCOを削減でき、また高いROIも実現できるという。

 史上最も速いペースで売り上げを拡大し、今や400億ドルを超える大企業に変貌したDellだが、IAサーバ市場に参入したのは1996年。つまり、それ以前はいわゆるレガシーと呼ばれる技術でシステムが構築されていた。

 「社是ともいえるカスタマーフォーカスを追求するうち、事業部ごと、地域ごとにシステムが構築されてしまった」と山田氏は振り返る。

 1990年代後半、受注管理システムは30もあり、製造システムも拠点ごとにばらばらにつくられた。情報も部門ごとのデータマートに分断され、経営層がタイムリーに把握できない有り様だったという。

徹底した標準化に着手

 「真のグローバル企業を目指そう」── 米国以外での成功がさらなる成長へのカギとみたマイケル・デル会長(当時会長兼CEO)は、2000年問題対応に区切りをつけたあと、ITシステムの変革に乗り出した。「ビジョン=1」(ビジョンワン)構想が掲げられ、真のグローバル企業を支えるITシステムの構築が始まった。

 ビジョン=1は、ハードウェアを自社のIAサーバやストレージに絞り込むのはもちろん、技術アーキテクチャ、データモデル、開発フレームワークなどをグローバルで統一し、業界でナンバーワンのパフォーマンスを目指そうというものだ。それを実現するための6つの基本原則が定められたが、中でも「グローバルな経営戦略とIT戦略の融合」が最も重要だと山田氏は指摘する。

 「それまでのシステム部門は、ユーザー部門のニーズをそのままシステム化してきただけ。結果としてばらばらなシステムを生み出してしまった」(山田氏)

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