Oracleの「虚偽の発言」めぐる訴訟、続行が決定

一審で棄却された投資家による対Oracle訴訟だが、控訴裁では続行の判決が出た。原告はOracleが業績に関して虚偽の情報を伝え、売上を不当にかさ上げしたと主張している。(IDG)

» 2004年09月03日 18時06分 公開
[IDG Japan]
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 OracleはPeopleSoft買収の可否をめぐる判事の決定を待つ一方で、それと関係のない訴訟で後退を喫した。米連邦控訴裁は9月1日、一審判決を覆し、Oracleとその上級幹部数人に対して3年前に起こされた訴訟の続行を認めた。この訴訟はOracleとその幹部が同社の業績について、投資家に虚偽の情報を伝えたとして起こされたものだ。

 投資機関Local 144 Nursing Home Pension Fundの主導により、2001年3月に提出された訴状では、Oracle幹部が不況による売り上げ不振を隠ぺいしたと申し立て、「11i E-Business Suite」の問題を指摘している。訴状は何度か棄却され、修正されてはまた提出されたが、2003年3月にサンフランシスコの連邦地裁は、原告の主張は、Oracle幹部がそうと知りながら意図的に虚偽の発言をしたという「強い推測」を示すものではないとしてこの訴訟を棄却した。

 第9巡回区控訴裁は1日、訴状にはOracle幹部が意図的に虚偽の発言をしたという証拠が含まれており、訴訟の続行を認めるべきと判断した。

 2001年3月1日に、Oracleはアプリケーション売上の伸びと予想を大きく下回り、データベース売上は良くて横ばいになるとして、四半期業績が予測以下になるとの警告を発した。同社の株価は急落した。

 原告はこの警告に照らして、その数カ月前にラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)を含むOracle幹部が行った発言の信ぴょう性に異議を申し立てた。幹部らは、売上は好調で、Oracleは不況の悪影響は感じていないと発言していた。また訴状には、エリソン氏は業績警告と株価急落のわずか1カ月前の2001年1月末に、約9億株のOracle株を売却したと記されている。

 ウォレン・ファーガソン判事の手による1日の意見書には、エリソン氏の株式売却は「疑わしく」、Oracle関係者はおそらく売上が減速していることを知りつつ、それとは異なる公式発言をしたのだろうと書かれている。

 「Oracleが3月1日の業績警告の前に、業績予測を達成できないことを知っていたと考えるのは妥当だ。特にエリソン氏は、『これらの取引の多くに関わっていた』ことを認めている」(同判事)

 また同判事の裁定は、一審で退けられた不正会計の訴えも重視している。

 原告は、Oracleが顧客の不注意による過払いを売上として記録していたと主張している。この慣行により、Oracleの業績は2億3000万ドルかさ上げされたと原告側証人の1人は語っている。ファーガソン判事は、この申し立ての証拠として提出された文書は、「不正な売上の調整があったことを証明しているようだ」としている。

 同判事は、この申し立ては、Oracle、エリソン氏、ジェフリー・ヘンリー会長、エドワード・サンダーソン執行副社長に対する訴訟を続行する十分な根拠になると結論づけた。この訴訟はサンフランシスコのカリフォルニア州北地区連邦地裁に差し戻される。

 Oracleの広報担当者は、同社は原告の申し立てを「証拠による裏付けが全くない」ものと考えており、最終的には勝つ自信があると話している。

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